- 2008年10月08日の旧エントリから転載・改編
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【Person of The Year 2009】
- Albert Einstein
「Back to the future」にドクされて幼稚園時代から物理学者が夢だった.Einsteinを初めて知ったのは小学校4年生のときで,何の時間だったか,当時の担任の先生が長々と話した相対論の話がきっかけだ.田舎のDQ生でまともにその話を理解した奴がいるとは思えないけれども,時間や空間が絶対的ではないという着想は長年タイムマシン構想を温めてきた自分には割とすんなり受け入れられたし,何より目標だったタイムマシンの実現に大きく近付いた確信があった.結局,その直後に市立図書館で借りた子供向けの相対論の本で,その野望は見事に打ち砕かれたわけだが.更にいうと,ここからすぐに物理一直線になったわけでもなくて,本格的にEinsteinの熱狂的ファンになったのは中学も後半になってからの事.
中学時代は流石に趣味方面で自由に勉強はさせてもらえなかったけれども,高校では校風も相まって物理の勉強に没頭した.八重洲ブックセンターや紀伊国屋本店は御用達で,専門書を買い漁って,読み漁った.東京大学にも何度か遊びに行った.お陰で,高校1年を終える頃には大学課程の基礎物理学は全て終えていたし,相対論と量子論を本格的に勉強し始めたのもこの時期だ.Stephen Hawkingの本なんかも読んで,宇宙論のイマも見すえて東京大学の受験も真剣に考えていた.
イヤミな自分史はこれくらいにして,Einsteinの話に戻る.Einsteinは当然ノーベル物理学賞を受賞しているわけだが,この受賞が相対性理論によるものではない事は意外と知られていない.相対論が割と懐疑的に見られていたことが理由だと最近まで疑わなかったのだが,スイスで聞いたところでは,相対性理論がある意味で「物理学」ではなかった事が真の理由らしい.そして,なるほど自分が結局物理系に進学しなかった理由もここにあったのだと思った.
相対論を改めて眺めてみると,その理論の核が彼の思考実験によるものである事に気付かされる.実際,彼が特殊相対性理論の論文「ON THE ELECTRODYNAMICS OF MOVING BODIES」を完成させたのは,物理学者としてではなく特許局の職員として言わば普通のサラリーマン生活をしていたときのことで,相対論はEinsteinが仕事の合間に小さな部屋で広げに広げた空想といって然るべき理論なのだ.
少ない公理系から出発して矛盾のない理論を築き上げていくその論法は,物理学というより正に数学だ.Einsteinが物理学者の中では異端的に数学的な方法で物理を大成した逸材だった,ということか.方法論のみならず,理論的にも数学的で明快だ.相対性理論にしても,実際に理論を検証したのはEinsteinとは全く接点のない人物だったりする.
本来,物理学というのは綿密で厳密な実験を重ねて,誤差まみれの結果の中から法則を拾い出していく泥臭い分野が大半を占めている.にも関わらず,自分の物理への情熱はEinsteinと常に隣り合わせだったものだから,てっきり物理学というのは,奇抜で天才的な発想が即効で活きる華やかな学問と勘違いしていた感がある.結局,高校時代にある所まで物理を勉強して物理学系への進学を断念してしまったのは,自分が想像していた美しい印象とは真逆の泥臭さを見てしまったからだと,今にして分かった.
要するに,極端に言えば自分が好きだったのは物理学じゃなくて数学だったということだ.事実,数学的な論法で展開される理論はどれも大好きで,現代の経済理論なんかは正にソレ.別に経済や市場に特別興味があった訳ではなくて,僅かな仮定から積み上げる理論体系そのものが面白い.
ともあれ,この夏,Einsteinを巡る悲願の旅を果たしてぼんやり見えたそんなEinsteinの本質.


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