2009/06/29

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 (2009)

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 [Blu-ray]
キングレコード (2010-05-26)
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 先週末の公開日,予約してもらった劇場中央のベストポジションで観て来た.

 正直なところ,原作のTV版や旧劇場版には何の思い入れも無くて,社会現象と言われたのを不思議に思っているくらいなのだけれど,前回の「新劇場版:序」が期待を大きく上回る傑作だったので,今回は気合いを入れて行って来た.

 かなり期待していったにも関わらず,その期待を更に大きく上回る傑作.脚本,演出,音楽,テーマ,映像などなど,どの観点から見ても,今までのアニメーション映画の中では断トツだ.宮崎駿作品は勿論,「GHOST IN THE SHELL」や「AKIRA」よりも遥か上を行く.
 やはり技術で勝てない日本の生き残る活路は,芸術とエンターテイメントだと確信させるような作品だった.

 アニメの殿堂なんて薄っぺらいものじゃなく,もはや公的な産業指定があってもいいと思う.アニメーターの悲惨な実態を,政治経済の面から考えてやれないかなぁ…….

 原作のような抽象概念や実写によるごまかしは一切ない.世界への媚も無い.アニメーションを,芸術として,そして何より文学として昇華させてくれる名作.前作の「序」すらも,はるか高みから見下ろすこの作品を,公開初日に劇場で観られた事を素直に喜びたい.

 強いて言えばセオリー的な演出があったと言えばあったけれど,絶望的で冷酷なシーンにも一つ一つ意味と温かさが感じられる.予想を裏切らないだけなら駄作だけれど,期待を裏切らないのは名作だ.また,原作を知らないで観るには薄っぺらいけれど,原作を知っていると逆にキャラクターの性格や心理描写に微妙な違和感があるかも知れない.そのあたりをバランスよく観られる余裕があるなら,この作品は3倍の値段を払っても観る価値があると思う.

2009/06/17

ハゲタカ (2009)

映画 ハゲタカ(2枚組) [DVD]
東宝 (2010-01-15)
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 知人に勧められ,ドラマを観ないまま仕事帰りに映画館に駆け込んでのレイトショー.一切の予備知識なしで見たにもかかわらず(だからこそ?),抜群の臨場感と妥協のない作り込みで大満足だった.役者だけ見ても,大森南朋,玉山鉄二と個人的に好きな俳優ベスト5に入る俳優が二人も出演.柴田恭兵も大好きな役者の一人だ.

 仕事の関係で,この数カ月サブプライムとLehman Brothersに関して執拗に勉強し直していた事もあって,ことの流れを生々しく追えたのも楽しめた理由の一つ.映画は中国が仕掛けた買収劇が引き金となっての大暴落劇なので昨年の一連の流れとは構図が違うけれども,過去の世界恐慌やオイルショック,LTCM,ITバブルなどと比較出来るところが多々あって面白い.
 原作の年代を見ても,村上ファンドやライブドアの時期が念頭に置かれているのかな,とも思う.バリバリのファンド関係者だとかトレーダーが見たら新しさはない作品かも知れないが,自分のようになまじ経済をかじっている人間には刺激になる一作.

 そして何より,視点が偏っていないのがいい.

 ファンド側の強さも脆さも,情も非情も描かれる一方,企業側の情熱や現実のコントラストも鮮明に描かれる.観終わった後で,フェティッシュに価値観を押し売りするではなく,個々人に企業や経済の意義を考えさせるくらいの余裕がある.
 逆に,マスコミの偏った情報を鵜呑みにして現実を何一つ知らない大衆や,古い価値観に悪い意味で縛られ過ぎてしまっている中高年にとっては,少し価値観が変わるくらいのインパクトがあるかも知れない.個人的には数理屋よりももう少し泥臭いところでプレーヤーとして身を置いてみるのも面白いなと改めて思った.

 予備知識なしでも鷲津ファンドの過去は十分わかったけれども,ドラマの方も遠くないうちに観ようと思う.映画も公開中にもう一度くらい観に行きたいところ.

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 最後に余談.

 NHKの底力と言ってしまえばそれまでだけれど,いまだに買収劇に曝されている民放主導では,この手の作品に深くは切り込めないだろうなと思った.この映画で言うところの既得利権に裏打ちされた表現力,というか何というか.

2009/06/16

Person of The Year 2008 #02

  • 2008年11月02日の旧エントリから転載・改編
 最初に長々と余談を.

 自分は実験が嫌いだ.といっても,実験という行為そのものが嫌いなのではなく,科学実験に付きまとう細かい数値を追うのが嫌いだ.現代のいわゆる研究に付随するような実験には目眩のするような高い精度と,気の遠くなるような長い時間が求められる.そして何より,こうした実験に必要なのは卓越した情熱と,想像を超える労力だ.そうした実験を蔑んでいるわけではなく,それらに比べると素朴に,思考実験の方が気楽で楽しいのだ.

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 少し前,日経新聞の「私の履歴書」の中で野依良治さんが最近の自然科学の方法に対して懐疑的な記事を書いていた.要するに,コンピュータを使った安直なシミュレーションと定式化の連鎖に科学の方法を求めるのではなく,素朴な発想や地道な実験に訴える科学の方法を忘れてはならない,といった類の話だったと思う.

 Keplerが行ったような精密な計算は今日のコンピュータで簡単に再現出来る.逆に,時代がコンピュータを手に入れてしまった今となっては手計算で彼等の足跡を辿ろうとする気概のある研究者はいないだろうし,自分だって面倒な計算は出来れば避けて通りたい一人だ.ではKeplerの方法をコンピュータに手渡すデメリットは何か.その一つには,「何故間違えたか」の答えを探す難しさがあると思う.実験には失敗がつきもので,計算機実験には失敗を簡単に棄却してしまう危うさがある.失敗にも意義がある.失敗の科学史が本質を絞る手掛かりになるように.
  • Conan Doyle "When you have eliminated the impossible, whatever remains, however improbable, must be the truth."
 でも,思考と実験を分離することはある程度可能だ.特に基礎研究であればある程,実験の本質は計算に近付くから,計算くらいは計算機に丸投げしてもいいじゃないか.自分を含む世の中の99.99999%の人は,Keplerのような卓抜した才能を持ってはいないのだから.

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 実験の方法は変わっても,仮説を立てる思考のプロセスは変わらない.全ては論理だ.公理から出発し,矛盾のない体系を組み立てていく.数学的なその方法を数学者から学ぶにはある程度の準備と修行が必要だろうけれども,同じ方法のEinsteinの思考は,対象がより公理的なものであるがゆえに,特別な知識や才能無しで追い掛けられる.数多の天才の中でEinsteinに特別な光明を見出したのは,自分が凡人だったからに過ぎない,と思う.

 裏を返せば,誰もがEinsteinを学び,誰もがEinsteinになれる可能性を持っている.

 自分はEinsteinには遠く及ばないけれども,理論的に,理性的に物事を眺める経験はそれなりに積んできたし,その少なくない部分をEinsteinに負っているのもまた事実だ.そして彼の残した名言たちの真意も,結局そういうところに行き着くのではないかと思う.

 人類の財産であるはずの「」を見失って,政治も社会も混沌を極めていく時代だからこそ,もう一度「Einstein」にたち返る意味がある.Einsteinの足跡を直接辿り,感じる事で,彼の存在感を改めて確認した夏だった.

2009/06/15

Person of The Year 2008 #01

  • 2008年10月08日の旧エントリから転載・改編
 今までの人生でやり直したい場面が幾つかある(もともと後悔とは無縁の性格だけれど).その1つは,小学校時代の卒業文集だ.自分が卒業文集に寄せたタイトルは「狙えノーベル賞!エジソン2」だった.この原稿の元々の原題は,「狙えノーベル賞!アインシュタイン2」だったのだが,当時の同級生達が揃ってEinsteinを知らず,迷った挙句にEdisonで妥協してしまった.Edisonがノーベル賞を取っていない,まして科学者でもない事に気付いたのは,卒業文集が完成して随分と時間が経ってからのことだった.

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【Person of The Year 2009】
  • Albert Einstein
 誰も期待していないのに毎年個人的に決めている恒例,Person of The Year 2008は,当然,Albert Einstein.因みに,次点はVermeerとSchrödinger.ノーベル賞で佐藤勝彦さんが物理学賞を受賞していたら唯一逆転の可能性があったものの,ノーベル賞も無事日本人2名と日系米国人1名の素粒子での華々しい受賞が決定したので,早くもEinsteinで決定.

 「Back to the future」にドクされて幼稚園時代から物理学者が夢だった.Einsteinを初めて知ったのは小学校4年生のときで,何の時間だったか,当時の担任の先生が長々と話した相対論の話がきっかけだ.田舎のDQ生でまともにその話を理解した奴がいるとは思えないけれども,時間や空間が絶対的ではないという着想は長年タイムマシン構想を温めてきた自分には割とすんなり受け入れられたし,何より目標だったタイムマシンの実現に大きく近付いた確信があった.結局,その直後に市立図書館で借りた子供向けの相対論の本で,その野望は見事に打ち砕かれたわけだが.更にいうと,ここからすぐに物理一直線になったわけでもなくて,本格的にEinsteinの熱狂的ファンになったのは中学も後半になってからの事.

 中学時代は流石に趣味方面で自由に勉強はさせてもらえなかったけれども,高校では校風も相まって物理の勉強に没頭した.八重洲ブックセンターや紀伊国屋本店は御用達で,専門書を買い漁って,読み漁った.東京大学にも何度か遊びに行った.お陰で,高校1年を終える頃には大学課程の基礎物理学は全て終えていたし,相対論と量子論を本格的に勉強し始めたのもこの時期だ.Stephen Hawkingの本なんかも読んで,宇宙論のイマも見すえて東京大学の受験も真剣に考えていた.

 イヤミな自分史はこれくらいにして,Einsteinの話に戻る.Einsteinは当然ノーベル物理学賞を受賞しているわけだが,この受賞が相対性理論によるものではない事は意外と知られていない.相対論が割と懐疑的に見られていたことが理由だと最近まで疑わなかったのだが,スイスで聞いたところでは,相対性理論がある意味で「物理学」ではなかった事が真の理由らしい.そして,なるほど自分が結局物理系に進学しなかった理由もここにあったのだと思った.

 相対論を改めて眺めてみると,その理論の核が彼の思考実験によるものである事に気付かされる.実際,彼が特殊相対性理論の論文「ON THE ELECTRODYNAMICS OF MOVING BODIES」を完成させたのは,物理学者としてではなく特許局の職員として言わば普通のサラリーマン生活をしていたときのことで,相対論はEinsteinが仕事の合間に小さな部屋で広げに広げた空想といって然るべき理論なのだ.


 少ない公理系から出発して矛盾のない理論を築き上げていくその論法は,物理学というより正に数学だ.Einsteinが物理学者の中では異端的に数学的な方法で物理を大成した逸材だった,ということか.方法論のみならず,理論的にも数学的で明快だ.相対性理論にしても,実際に理論を検証したのはEinsteinとは全く接点のない人物だったりする.

 本来,物理学というのは綿密で厳密な実験を重ねて,誤差まみれの結果の中から法則を拾い出していく泥臭い分野が大半を占めている.にも関わらず,自分の物理への情熱はEinsteinと常に隣り合わせだったものだから,てっきり物理学というのは,奇抜で天才的な発想が即効で活きる華やかな学問と勘違いしていた感がある.結局,高校時代にある所まで物理を勉強して物理学系への進学を断念してしまったのは,自分が想像していた美しい印象とは真逆の泥臭さを見てしまったからだと,今にして分かった.

 要するに,極端に言えば自分が好きだったのは物理学じゃなくて数学だったということだ.事実,数学的な論法で展開される理論はどれも大好きで,現代の経済理論なんかは正にソレ.別に経済や市場に特別興味があった訳ではなくて,僅かな仮定から積み上げる理論体系そのものが面白い.

 ともあれ,この夏,Einsteinを巡る悲願の旅を果たしてぼんやり見えたそんなEinsteinの本質.

2009/06/14

ゲルマン紀行#07

  • 2008年09月25日の旧エントリから転載・改編
 最後の街となったウィーン.散策した時間も内容も格段に多いので,ウィーンだけで単独の記事.3泊したベルリンもポツダムを除けば実質は1日半なのに対して,ウィーンは3日弱の滞在.ザルツブルクからウィーンに向かい,到着した日の夜は酷い雷雨に見舞われたものの,翌日の朝からは綺麗に晴れ渡った.

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【ウィーン(オーストリア)】★★★★★

 言わずと知れた音楽の都.夜になれば街の至る所で演奏会や公演が開催され,街は音楽で満たされる.又,ハプスブルク王朝帝都としての歴史を今に残し,建築,文化,宗教など様々な面で街は刺激に満ちている.総合的にはベルンより勿論優秀.ただ,それは規模的なものによる評価であって,マイナス要素が見当たらないベルンとは裏腹に,文化的に深い反面でマイナス要素も少なからず見え隠れする.その辺は,良くも悪くも京都の現在と似たり寄ったり.

 それでも,京都より断然良い.もしも欧州に住む機会があるとすれば,現実的に一番可能性があるのはウィーンかも知れない.都市的機能,職の多彩性,学術性などなどを踏まえての話.因みに,研究室の先輩がウィーンの大学で講師をしているのも嬉しいコネ.街も今回旅した都市の中では一番広く,細かい所を観ようとすればそれこそ京都と同じで住まなければ難しいだろう.

 尚,ウィーンでは丸々三日弱散策する時間があり,交通の関係から同じ場所を何度も利用したりもしている.詳しい話は中に入った段階で書いている.
  • ワーグナー住居
  • レオポルト・ミュージアム(ミュージアム・クォーター・ウィーン)
  • 近代美術館(ミュージアム・クォーター・ウィーン)
 ミュージアム・クォーター・ウィーンは複数の美術館を集めた総合美術モール.KlimtやSchieleといったウィーンの美術家達の名画が集まるレオポルト・ミュージアムと,彫刻絵画の企画展を開催する近代美術館のみ入館.
 レオポルト・ミュージアムの官能的な名画の数々は一見の価値あり.ウィーン美術アカデミーを巣立った新時代の芸術家たちは,同じ官能的なモチーフを描いていてもそのタッチや画風が面白いほど違って,いい勉強になった.
  • ホーフブルク(新王宮)
    • エフェソス博物館
    • 古楽器博物館
    • 中世武器博物館
 ウィーン王宮は非常に広大で,博物館等も休館日がまちまちなので分けて散策,入館.それでも,全てまわり切れていない.新王宮の博物館に関しては,武器博物館にだけ興味があったが,共通券だったので他も流し見して来た.
  • 国立劇場
  • 最高裁判所
  • アウエルスペルク宮殿
    • レジデンツ・オーケストラ
 ウィーン1日目の夜はレジデンツ・オーケストラへ.普通に買うとB席でも39ユーロと言う高額チケットだが,ちょっと極秘のルートで少し安く入手.思いのほか資金が残っていたので,ウィーンでは結構お金を落とした.オケは鳥肌もの.ベルリンの野外公演も言葉に出来ない感動があったけれども,キチンとした音響で聞くと,何というか,紅茶にミルクを落とした如く,それぞれの楽器の音が3次元的に無摩擦で溶け合うような美しさと迫力があった.十分に予習していったMozartやStraussの演目が生で聴けたのも良かった.ウィーンでも定評のあるオケ.
  • ホーアーマルクトのローマ遺跡
  • アンカー時計
  • ルプレヒト教会
  • マリア・アム・ゲシュターデ教会
  • ショッテン修道院
  • クンストフォールム
  • フェステル宮殿
  • アム・ホーフ教会
  • 時計博物館
  • エンゲル薬局
  • シュテファン寺院
 ウィーンのシンボル的教会.ただし,塔が改装中で鋭い外観が楽しめなかったのは残念.内部は非常に厳か.今回の旅で内部が一番華やかだったのはケルン大聖堂だが,教会としての慎ましさと威厳が感じられたのはシュテファン寺院だった.
  • 鉄の杖
  • ペーター教会
  • ペスト記念碑(三位一体記念碑)
  • ロースハウス
  • ミヒャエル広場
  • ミヒャエル門
  • ローマ旧跡
  • マリア・テレジア広場
  • 自然史博物館
 王宮の向かいに対称的に向き合う対の建築が自然史博物館と美術史博物館.休館日が違うので日をずらして入った.鉱石や宝石といった地学的な展示,恐竜から微生物,哺乳類に至るまでの生物史とコレクションに加えて,人類史の展示も充実しており,25000年前に人類が造った土の偶像がとても魅惑的だった.
 パンフをくれたお婆さんはこの偶像について一言,「Do you know him?」.この辺りもオシャレ.色々話を聞いて来た.非常に広く,観るだけで相当時間が必要.両生類辺りのコレクションはあまりに充実し過ぎていて,苦手な自分はふるえながら見て回った.
  • 国会議事堂
  • 市庁舎
  • 市庁舎広場
  • ウィーン大学
    • ノーベル賞記念碑
    • ゲーデル記念像
    • シュレーディンガー記念像
    • ボルツマン記念像
    • ドップラー記念像
    • ハイエク記念像
    • 欧州天文学会
 ドイツ語圏最古の大学.今回の旅で一番訪れたかった大学.Cambridge,Oxfordに続く欧州の伝統大学の一角.そして,Schrödingerの研究拠点.歴史がある割に,CambridgeやOxfordと比べると規模が小さく,ノーベル賞受賞者も少ない(それでも東京大学や京都大学の比ではないけれども).大学の玄関ホールにはノーベル賞を受賞したOBの記念碑が設けられているが,数学系・物理系・化学系の人ならこれを見て発狂する事間違いなし.

 中央にSchrödinger.カッコ良過ぎる!しかも,そのSchrödingerの前には,透明の「?」の板が.これは,次なるノーベル賞受賞者のためのもの.この辺りもとてもセンスがいい.最後に書くように,ウィーンのやり方はどこかオシャレだ.

 中庭には先人達の記念像が数十体並ぶ.この日ウィーン大学では欧州天文学会が開催されており,個人的に思い入れのある超有名人にまさかの遭遇.中庭がポスターセッションの会場となっていて,Hayekの像などは見事に隠れていたが,Schrödingerの像は学者さん達の気遣いあって微妙に除けられていた.Einsteinの泉でツーショットを撮り逃したので,Schrödingerとツーショットを撮って来た.写真を撮って貰ったおじさんもひょっとすると有名人かも.ETHでのEinsteinと違って,Schrödingerの功績に見合うだけの愛が感じられて良かった.
  • ベルゼ(証券取引所)
  • 日本領事館
  • 産業技術博物館
  • シェーンブルン宮殿
    • シェーンブルン宮殿
    • プライベート・ガーデン
    • グロリエッテ
    • 迷宮庭園
 今回の旅で訪れた宮殿の中でも抜群に美しい.ウィーンのベストポイント.綺麗だと思ったポツダムのサンスーシー宮殿ですら足元にも及ばないといった感じ.宮殿そのものも然る事ながら,広大な庭園に手入れが行き届いていて,一日中歩いていても飽きない.小高い丘の上に立つグロリエッテも素晴らしい.「ベルサイユ宮殿を凌ぐ宮殿」としてレオポルト1世が建設を命じたとのこと.いずれベルサイユを訪れて比較するのも楽しみだ.実際,両方に行っている従兄の話ではシェーンブルン宮殿の方がいい,との話.ベルサイユ未踏の自分もそんな予感がする.尚,ウィーン旧市街とは別にシェーンブルン宮殿だけで単独の世界遺産認定を受けている.
  • アウガルテン
    • アウガルテン宮殿
    • アウガルテン磁器工房
    • アンブロシ美術館
 シェーンブルン宮殿から地下鉄で直行.アウガルテン宮殿そのものもそれ程見応えが無かったが,それ以上に直前に見て来たシェーンブルン宮殿があまりに綺麗だったので,期待外れ.庭園も普通の公園といった感じ.ただ,宮殿はかつでMozartやBeethovenがコンサートを重ねた歴史も踏まえれば一見の価値はあるか.
  • ウィーン中央墓地
    • モーツァルト記念碑
    • ベートーベン墓
    • シューベルト墓
    • シュトラウス(父)墓
    • シュトラウス(子)墓
    • ボルツマン墓
 ウィーン郊外にある最大の墓地.野球場何個分という広さの墓地で,その中央区画は特別区として著名人の墓が集中している.取り分け有名なのは32A名誉区と呼ばれる特別区で,名だたる音楽家が眠る.Mozart,Beethoven,Schubert,Straussというこのメンツだけで異常な豪華さ.ただし,Mozartは北のザンクト・マルクス墓地に集団埋葬されたため,遺骨の判別が付かずここでは記念碑が立っている.オーストリア歴代大統領らもこの中央区画に眠っている.この中央墓地にはBoltzmannの墓もあり,お墓参りをして来た.一応,統計物理という分野上,SchrödingerやEinsteinよりBoltzmannの方が遥かにお世話になる機会も多いわけで.墓石に刻まれたエントロピー式が印象的だった.
  • ザンクト・マルクス墓地
    • モーツァルト墓
  • アカデミックギムナジウム
 Schrödingerの出身校(日本で言うところの高校に相当するのがギムナジウム).今も彼の碑文が表に残っていた.
  • ウィーンフィルムフェスティバル(市庁舎)
 2日目の夜は,市庁舎で開催されるウィーンフィルムフェスティバルへ.オペラのオフシーズンになるとウィーンでは,市庁舎広場に大画面(それこそサッカーコート半面くらいの大きさ)を設置し,毎晩無料で過去のコンサートやオペラの映像を日替わりで放映している.音響も良く,広場の奥ではレストランやビアガーデンが露店を開き,大勢のウィーン市民が涼みにやって来る.
 この日の演目は,ルツェルン祝祭管弦楽団の2003年公演.前日の生のオケを聞いていなかったらこれでも物凄いインパクトがあっただろう.
  • 内務省
  • 首相官邸
  • ミノリテン教会
  • フォルクス広場
  • ブルク劇場
  • ヴォティーフ教会
  • ホーフブルク(旧王宮)
    • 皇帝の部屋
    • シシイ・ミュージアム
    • 宮廷コレクション展示室
 内部は撮影不可.皇帝の部屋,シシイ・ミュージアム,宮廷コレクション展示室の三カ所が全て共通券で入館出来た.自分自身はあまり食器などに興味はないが,好きな人はコレクション展示室の食器を一つ一つ見るだけでも物凄く楽しいと思う.旧王宮という事もあってか,内部はミュンヘンの王宮の方が豪華さがあったかも知れない.落ち着いた雰囲気は良し.
  • ホーフブルク(スイス宮)
    • 王宮礼拝堂
    • 王宮博物館
    • アウグスティーナー教会
  • ゲーテ像
  • 美術史博物館
 ウィーンの最大の目的地の一つ.前日入った自然史博物館と対称な建築で,今回の旅では最後のVermeer所蔵美術館.Vermeerの「絵画芸術の寓意」は,Vermeer中期にしては珍しい寓意画だが,タッチや色遣いは最盛期のそれを感じさせるものの,構図や物語に慎ましさが欠けている感じがした.結局,ベルリンで観た最初の一枚が今回の旅ではベスト.それでも,この美術史美術館でも20分くらいにらめっこしていた.

 Vermeerのほかにも非常に見所が多く,規模的には恐らくミュンヘンのノイエ&アルテ・ピナコテークの方がやや大きい位だと思われるが,ミュンヘンに続いてRubensやBrueghelのコレクションは非常に多く,又,ミュンヘンで観られなかったイタリア絵画も多く揃っていた.この辺がじっくり見られたのも良し.Raffaelloの「ベルヴェデーレ聖母」なども有名.Brueghelの滑稽な時代画は面白かった.昔,世界史で散々Brueghelの絵は見せられた記憶があるけれど,あれはあれで歴史的に面白い.

 ただし,諸事情で美術館の目玉の一つとなっているRembrandtやBrueghel Jr.の作品の一部は観られず.実はその事情はあらかじめ分かっていて,今,日本で「ウィーン美術史美術館展」が開催されているからだ.来年の1月には神戸に来るので,その時に観れば良いと思っていた.

 ところで,Vermeerの「絵画芸術の寓意」は東京で今開催されているVermeer展に出品予定だったのが急遽取り消しになったことでも話題になった.「作品保護の為」とされていたので,最悪,観られないかも知れないとは思っていたのだが,無事観られて一安心.要するに本音は,「これ以上日本の美術展に目玉を出品出来るか」ってことなのだと思う.
  • カールス広場
  • カールス教会
  • 楽友会館
  • ベルヴェデーレ宮殿
  • ベルヴェデーレ上宮
    • 19・20世紀絵画館
    • ベルヴェデーレ下宮
    • バロック美術館
 宮殿が対になって立っているのが面白い.シェーンブルン宮殿やサンスーシー宮殿には遠く及ばないが,前日にアウガルテンでワンクッション置いたので宮殿そのものもまずまず新鮮.それ以上に,宮殿内に併設されている美術館二つが面白く,時間の関係で全ての絵をじっくり観る事は出来なかったが,見どころとなっているGoghやKlimtは観られて良かった.
  • シラー広場
    • シラー像
    • フランツ・ヴェルフェルの記念碑
  • 造形美術アカデミー
 本当は美術館を観る予定でいたのだが,美術館が改装中のために休館.造形美術アカデミーはウィーン新時代の画家達を生んだ美術の名門であると同時に,Hitlerが受験に失敗した事でも有名.Hitlerがこのアカデミーに合格していたら歴史がどう変わっていたか.
  • オペラ座
    • 内部見学ツアー
    • オペラ座ミュージアム
 オペラ座の内部見学ツアー.チケット情報が欲しかったので,今回の旅で初めて日本語のガイドツアーに参加.音楽家の名前の刻印やMahlerの使っていたピアノなど,博物館テイストで楽しめた.それとは別に,ミュージアムも軽く流し見出来た.
  • 映画博物館
  • ホーフブルク(旧王宮)
    • アルベルティーナ宮殿
    • ゴッホ特別展
    • ピカソ・モネコレクション
 造形美術アカデミーで時間が浮いたので,どこか美術館か博物館に入ろうと思い,アルベルティーナ宮殿を選ぶ.アルベルティーナ宮殿は,中に美術館が併設されていて,丁度このとき,オランダのゴッホ美術館などからGoghのコレクションが大量に集まって特別展が開催されていたので,喜んで入る.常設のPicassoとMonetも良かったけれど,Goghもいい.Vermeerといい,Rembrandtといい,Goghといい,次の欧州旅行にオランダは欠かせない.
  • 戦争とファシズムへの戒めの記念碑
  • 国立図書館
  • カプツィーナ教会
  • 大蔵省
  • 青い鯛の家
  • ハウス・デア・ムジーク
  • 市立公園
    • クアサロン
    • ヨハン・シュトラウス像
    • シューベルト像
  • 造幣局
  • オペラ座公演
 3日目の夜は,オペラ座の当日立見席券を並んで入手し,初のオペラ鑑賞.立見席は何と4ユーロという破格の安さ.オペラ鑑賞には相応の服装がマナーとの助言を受けていたので,用意して来たパンツと上着に着替えて参戦.尚,旅の途中で靴が破れてしまうというアクシデントがあったが,靴は何と相部屋のイタリア人のお兄さんに借りて行くという荒技で打破.買っても良かったのだが,新しい靴で歩き辛いのも嫌だったので.
 演目は,Verdiの「運命の力」.立見席ではない席では,椅子に電子掲示板で英独の字幕が流れるので劇の内容がよく分かる仕組みになっているが,最安の立見席なので内容はほとんど飲み込めず.それでも,オケとは違った迫力にすっかり魅了された.オペラに関しては予習不足だったが,初めてのオペラが本場の本場というのは少し贅沢過ぎたかも.でも値段はスイスのコーヒー一杯より安い.

 以上,ウィーンのまとめ.サブ項目は太字にしていないが,サブで書いてある博物館や美術館も大概は入館している.こうした拝観料はウィーンが抜群に高く,一般料金では1000円未満で入れる場所がほとんどない.
 今回,ウィーンで入った宮殿や美術館などを全て一般料金で入ろうとすると,正確に計算はしていないが多分50000円は軽く超えると思う.それが,学生料金だと半額程度に収まっているのだからこの差は大きい.実際,今回の旅は拝観料に宿泊費の3倍~4倍くらい費やしているが,これらを全て一般料金で払うと悲惨な数値が弾き出されるはず.因みに,学生優待が無かったところは全日程を通して5か所くらいだったと思う.欧州は学生を「学」生としてキチンと見てくれているという事だ.


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【雑談】
 ウィーンの至る所で,オシャレな文句が目に付いた.上に幾つか書いた例はもちろん,例えば,工事中の看板にしても「新時代のウィーン建設中」とか,王宮の博物館のポスターにしても「申し訳ありませんが我が博物館は皇帝は揃えておりません.あるのは王家の宝石だけです.」とか.市からの掲示板でも,「外に出ない日を休日とは呼びません!」とか.逐一,キャッチフレーズが上手いんだよなぁ.この辺りに,ウィーンという街の色を感じる事が出来た気がする.

2009/06/13

ゲルマン紀行#06

  • 2008年09月24日の旧エントリから転載・改編
 今回は国を跨いでミュンヘンとザルツブルクのまとめ.ミュンヘンでは,後述の通りトラブルがあって,予定していた博物館等に一部行けなかったのがとても残念.ミュンヘンも交通ハブとしては優秀なので,直接の目的地でなくともこれから立ち寄る機会は何度となくあるだろう.住むこともあるだろうか.

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【ミュンヘン(ドイツ)】★★★★

 今回の旅で唯一,不完全燃焼だった街.要するに,リストアップしておいた最低限見ておきたい場所を一部まわれなかった.博物館と郊外をもっと散策するはずだったのだが,予定外のトラブルで急遽時間を取られてしまい,観る予定だった場所を一部諦めざるを得なかったのだ.それでも,連泊した事もあって早朝から遅くまで時間を掛けて散策出来たのは不幸中の幸い.ドイツ最後の街.観るべき美術館には全て行けた.
  • カールス広場
  • カールス門
  • 聖ミヒャエル教会
  • フラウエン広場
  • フラウエン教会
  • マリエン広場
  • 新市庁舎
 マリエン広場に面して立つミュンヘンのシンボル.新ゴシック様式の建築に加えて,等身大の人形が定時に人形劇を繰り広げる大時計も見どころ.時間の関係で塔には入らなかったが,日が暮れてから通り掛かると,マリエン広場は店のガーデン席や大道芸人,クラシックの街頭演奏など大いに賑わっていた.
  • 旧市庁舎
  • 聖ペーター教会
 ミサを観る事が出来た.というよりも,ミサに参加.時間もあったので,独語の聖書を眺めつつ,法話を聞く.結局,何を言っているか1割くらいしか分からなかった.雰囲気が味わえただけでも良し.
  • アザム教会
  • ゼントリンガー塔
  • ヴァクトアリエン広場
  • ヴァレンティン博物館
  • イザール門
  • バイエルン州立歌劇場
  • テアティナー教会
  • レジデンツ
  • 宮殿
    • レジデンツ博物館
    • 宝物館
 ミュンヘン王宮.戦禍も免れ,14世紀より引き継がれる宮殿は今尚街のシンボル.宮殿内部は博物館として公開されており,豪華なドイツの上流階級の生活が今なお見て感じられる.北に面する王宮庭園も広大.
  • 王宮庭園
  • オデオン広場
  • 戦勝門
  • ミュンヘン大学(ルートヴィヒ・マクシミリアン大学)
 HeisenbergとPauliの母校.ミュンヘンは比較的日本人も多かったけれども,このミュンヘン大学にも主に女性の日本人観光客がチラホラ.気になって帰国してから調べたら違った.アレだ,『鋼の錬金術師』(主に劇場版の「シャンバラを征く者」.3年くらい前にDVDで観たのが最後.後でレンタルして見直しておこう.)の聖地でもあったのだった.聖地巡礼で欧州にまで来る腐女子自重!といいつつかくいう自分も2期には大いに期待している.
  • マルクス教会
 ミュンヘンは大きな美術館と博物館の数ではドイツ一.全て見ようと思えば4日くらいは必要だが,今回は美術館を優先してリストアップしておいた.特に,以下のピナコテーク美術館群は一つ一つが物凄く濃い.博物館はトラブルのせいもあってほとんど回れなかった反面,美術館は大御所をゴリ押しで全てまわった.アルテ・ピナコテークとノイエ・ピナコテークはいずれも欧州最大級.
  • ピナコテーク・デア・モデルネ
 現代美術館.PicassoやDaliなど,最近の巨匠達の名画が2階に並び,1階と地下は現代の文化に関する展示.BMWやポルシェといった自動車の展示も充実.ただ,個人的には今一つ.ピカソコレクションに関しても,これまで散々見て来ているし,ベルリンのベルクグルン美術館の方が充実度では遥かに上のように感じた.
  • アルテ・ピナコテーク
 旧美術館.14世紀から18世紀にかけての作品を展示.必然的に宗教画が多くなるが,Rubensのコレクションは圧倒的.宗教画と言えども,人物達の非常に豊かな表情と,力強い肉感とタッチ,鮮やかな色遣いなど,改めて存在感を確認した.「レウキッポスの娘たちの略奪」や「エレーヌ・フールマンの肖像」など名画も多い.Rubensはこれまでも多くの美術館で絵が残っていたが,大きさ,数共にアルテ・ピナコテークが抜群.50点以上あったのでは.特別展の関係でda Vinciの絵が観られなかったのは残念.ニュルンベルクで生家を訪れたDürerの名画も印象的だった.
  • ノイエ・ピナコテーク
 新美術館.19世紀から20世紀にかけての作品を展示.有名どころでは,Goghの「ひまわり」やMonetの「睡蓮」(Monetの睡蓮は非常に多く残っているのでそれ自体は決して珍しくはない).その他,Klimt,Gauguin,Millet,Corot,Renoir,Cézanne,Picassoなどコレクションは非常に充実.宗教画がほとんど無い分,アルテよりも多彩な楽しみ方が出来て時間を費やした.久々にMilletの作品を観たが,昔見たときよりも写実的な印象に欠け,Corotの方が魅力的に思えた.
  • グリプトテーク(古代彫刻美術館)
 古代ギリシャとローマの石膏彫刻を中心に展示してある.それはそれで魅力的.特に,彫刻絡みの美術館はどこに行っても数が限られているので.ただ,正直,前の2つがどちらも欧州最大級の美術館なので既に鑑賞に疲れ気味.ここで力を使い果たし,サブで考えていた隣の古代美術博物館は外観のみに切り替えた.
  • バイエルン州立音楽大学
  • 古代美術博物館
 工芸品関係の美術博物館で,既に疲れ切っていたので中には入らず.ギリシャ風の建築に加えて広大な庭園を持っているので,外を観るだけでも一見の価値あり.
  • 旧植物園
  • ネプチューン噴水
  • ミュンヘン国際空港
 ミュンヘンの市街地から30kmも離れた所にある空港.リコンファームのトラブルで緊急に向かわなければならなくなった.それでも,電車で片道40分弱といったところで,無事トラブルも解決.因みに,ここで解決していなかったら日本に帰国出来なかった可能性も大きかった.詳細は別の機会に.
  • ミュンヘン森林墓地
    • Heisenberg墓
    • Michael Ende墓
 今回の旅でお墓参り出来た大御所の物理学者は,HeisenbergとBoltzmannだけ.ご存知の通り,Einsteinには墓が無いし,Pauliに関しては情報無し.Schrödingerに関してもウィーンで色々現地調査はしたものの突き止められなかった.あとで考えてみたら観光案内ではなくウィーン大学で調査すれば判明しただろうと思うと悔しい.でも,京大でも湯川秀樹と朝永振一郎のお墓の場所まで知っている人って少ないだろうな.もちろん自分は両人とも墓参りした事がある.欧州の墓は,日本と違って土葬なので,それを意識すると異常に気味が悪い.特に森林墓地というだけあって森に囲まれており,訪れたのが日が上がり切らない朝方だったので余計に不気味だった.

 空港に行くトラブルがなければ,科学系の展示も充実していると言われるドイツ博物館と,ドイツ国内のユダヤ人収容施設だったダッハウ強制収容所に行く予定だった.中継地としてはミュンヘンは比較的優秀なので,次回立ち寄った時には博物館と収容所を優先的に回る.

 余談だが,ミュンヘンでの夜は相部屋のドイツ人と一緒にスポーツバーに行った.と言うのも,W杯の欧州予選開幕戦で,ドイツVSリヒテンシュタイン戦を中継していたからだ(試合はリヒテンシュタインのホーム戦).相手が弱小国と言う事もあって,ドイツが6-0で勝利.流石にこの圧勝にバーは大盛り上がりで,欧州サッカーの熱を少しだけ味わえて良かった.ついでに,この日オーストリアはフランスを破る快挙を挙げ,翌日ウィーンでは大騒ぎだった.

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【ザルツブルク(オーストリア)】★★★★★

 Mozartの生まれた街として知られているほか,旧市街は世界遺産に指定されている.とても綺麗な街だった.残念だったのは,生憎の雨と大量の日本人.比率的には,今回の旅で最も日本人の多かった街.日本では,宮本恒靖がザルツブルクに所属していて耳にする機会が多い.どの辺に宮本が住んでいるかは不明.
  • ミラベル宮殿
  • ミラベル庭園
  • バロック博物館
  • マリオネット劇場
  • 三位一体教会
  • マルクト広場
  • モーツァルト・ヴォーンハウス(住居)
 Mozartの住んだ家で,生家とは別に当時の住居が残っている.中は博物館として,彼の愛用品や作曲に使用した道具などが展示されている.只,どういう背景からか,この博物館のスポンサーになっているのが日本の第一生命で,日本のツアーには必ずこのMozartの住居と生家が組み込まれているらしい.いやむしろ日本からザルツブルクへのツアーそのものが増える切っ掛けとなっているように見えた.
 観光客は何と7割が日本人.自然,日本人向けのお土産コーナーまで設けられる始末.この旅で何度も同じことをしているが,ここでも日本語のガイドを貰わず敢えて「英語は喋れます」と英語版のガイドを貰う.年配の日本人ツアー客は英語が喋れないだけではなく態度まで横柄だからたちが悪い.
  • マカルト小橋
  • 旧市庁舎
  • モーツァルト・ゲブルツハウス(生家)
 こちらも同じく日本人の溜まり場.今度は9割が日本人.それはさておき,先の住居でもそうだがMozartとBeethovenはあらかじめ勉強したり音楽を聴き込んで行ったりしたおかげで,展示品や歴史に関してもそれなりに見応えがあったのは良かった.帰ってから,久々に映画「アマデウス」を観ようと思って借りに行ったら貸し出し中だったので近い内に.
  • ゲトライデ通り
 ザルツブルクの代名詞でもある古通りは非常に美しかった.ベルンとは違った趣を感じさせる.印象的だったのはMcDonaldで,石造りの古い建物の中に入っていたMcDonaldの表に出ている看板は,魔女の宅急便よろしく,金色に細く象った「M」の金細工のみ.見習うところが多い.
  • 聖ブラシウス教会
  • 馬の洗い場
  • カラヤン広場
  • 祝祭劇場
  • コレギエン教会
  • フランツィスカナー教会
  • ドーム広場
  • 大聖堂(ドーム)
  • 大聖堂博物館
 入口で志納を集めていて(そうでなくても訪れた教会には僅かながら寄付をするようにして来た),気持ち程度だけ納めたら係のオーストリア人のおじさんに片言で「アリガート,アリガート,ゴザイマース」とお礼を言われ一気に気分が萎える.日本じゃないんだから日本語なんか喋らなくていい.むしろ観光で来たツアーのおばちゃんにドイツ語を浴びせてやれ,と思ったが口には出さず笑顔を返す.
  • ザンクトペーター教会
  • レジデンツ(大司教館)
  • ミヒャエル・ハイドン博物館(作曲家として有名なHaydnの弟の家)
  • カピテル広場
  • ホーエンザルツブルク城塞
    • 城塞塔
    • 城塞博物館
    • マリオネット博物館
 ザルツブルクの高台に立つ城塞.ドイツ王からの攻撃を防ぐための防壁として11世紀に建てられたもので,いわゆるロマンチックなドイツ風の古城ではないが,要塞であるが故の軍事的な見どころは多い.また,塔の上からはザルツブルク盆地が一様に見渡せる.城の北側は旧市街の風景が,南側は広大な盆地に広がる長閑な田舎風景が魅力的.往復はケーブルカーか徒歩か選べるが,帰りは徒歩で坂道を降りて来た.
  • グロッケン・シュピール
  • モーツァルト広場
  • モーツァルト小橋
  • カプツィナー教会
  • カプツィナー修道院
 残るはウィーンのみ.ウィーンは滞在時間が最も長かった上に,美術館,博物館,イベントなど目白押しだったので次回単独で書く事にしよう.

2009/06/12

ゲルマン紀行#05

  • 2008年09月21日の旧エントリから転載・改編
 チューリヒからはドナウ川沿線を上流から下ってウルムへ.ウルムからニュルンベルク,レーゲンスブルクを経てミュンヘンまで.今回は,ウルム,ニュルンベルク,レーゲンスベルクの旅行メモ.例によって細かい教会などは却下.

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【ドナウ川紀行(ドイツ)】★★★★

 物凄く地味な地域.美しいイメージとは裏腹に泥沼のような濁ったドナウ川.川を離れて田舎町を訪れて行くと大きな古城が沢山残っていたりするけれども,残念ながら時間の関係で却下.チューリヒからトゥットリンゲンまで直行し,そこからジグマリンゲンを経てウルムに下る.一時的に雨がやみ,薄暗い,ある意味欧州らしい不気味な森の合間を,ドナウ川に沿って鉄道で切り分けていく風景は趣があった.ドナウ川上流は悪天候の方が雰囲気が出るかも.
 残念ながら,資料が乏しくライン川のように史跡を確認したわけではないが,時折,山の斜面に沿って古城や要塞が残されていたのも良かった.
  • ジグマリンゲン城

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【ウルム(ドイツ)】★★★

 Einsteinの故郷.ただし,1歳の時には家族でミュンヘンに移ってしまったので,Einsteinの生活の残り香はなかった.ほどんど隔離された田舎の集落を想像していたのとは裏腹に,なかなかの都会で生活はしやすそうだったが,旅行客から見たら面白みに欠ける.ただ,街の中心に立つウルム大聖堂はケルンを凌ぐ世界最高の高さの塔を持ち,この街の秩序を頑なに守っているような迫力があった.街自体はEinsteinの故郷である事を売りにしていて,彼方此方でEinsteinグッズがお土産用に並ぶ.欲しい物が沢山あったけれども,先が長いのでやっぱり泣く泣く断念.
  • アインシュタイン生家跡
  • アインシュタイン記念碑
  • ウルム大聖堂
 塔の高さは162mにも及び世界最高.規模的にもケルン大聖堂に次いでドイツでは2番目.ガイドブックでも見逃される地方都市というだけあって日本人観光客は一人もいなかったが,これはこれで見応えがある.懲りずに塔に登るも,やはり高所恐怖症が発動.しかも,ケルンに比べて塔の造りが弱々しく,しかもウルムに着いた頃から雨風が強くなって来たものだから,塔の頂上近くまで上ると異常に鼓動が高まる.それでも何とか頂上まで登り切るも,最早手が柱から離せずカメラを取り出せなかった.
  • ミュンスター広場
  • ウルム博物館
  • 市庁舎
  • アインシュタインの泉
 アインシュタインを象ったモニュメントの噴水.ここで舌を出して写真を撮る予定でいたのだが,思いの外人気の少ない街外れにあり,雨で人通りも無かったので通行人に撮影をお願いする事も出来ずに噴水の写真だけ撮って帰って来た.
  • ウルムメッセ
  • 鵞鳥の塔
  • 鷲の砦
  • ローマ帝国国境城壁
  • 新市庁舎
  • ザンクトヨハン教会
 新市庁舎に近いノイエウルム駅でこの日,夕方から何とメルケル首相の演説会が開催されていた.ただ,メルケルは京都に来たときに観に行っているし,雨でもう気持ち的に疲れ切っていたので演説会には行かずに宿へ.今回の旅で唯一ドミトリーではなく個室のホテルに泊まったのがウルム.
  • メッツガー塔
  • 漁師・職人街
  • 薬剤師庭園

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【アーレン(ドイツ)】★★★

 乗り換えの合間に立ち寄った街.実は,ウルムからレーゲンスブルクに掛けてはローマ帝国の国境城壁が世界遺産に指定されており,その代表的な博物館がこの街にある.ただ,時間の関係でそこまでは見られず.
  • ローマ帝国国境城壁

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【ニュルンベルク(ドイツ)】★★★★★

 街並みという点では,ドイツでもベスト.ローテンブルク程ではない(ローテンブルクには訪れていないので一概に比較出来ないが)にしろ,街の中心部は四方八方を城壁で囲まれており,城壁の内部は古い建築や城が多く残る.区画も昔ながらのもので,乗用車も比較的少なく,いい雰囲気の街だった.街の中心部には大きな教会が幾つも連なっており,宗教的な面での歴史の深さも感じさせる.博物館も充実しており,小さい街ながらもドイツではベルリンに次いで二番手で良かった街.
  • ケーニヒス門
  • 職人広場
  • マリエン門
  • ローレンツ広場
  • 聖ローレンツ教会
  • カタリーネン教会跡
  • ヒュブナーズ門
  • ヴェーダー門
  • フラウエン教会
 聖ローレンツ教会,フラウエン教会,聖ゼーバルドゥス教会はこの街の三大教会.中央広場に面して立つフラウエン教会は,ほぼ等身大の人形を使って人形劇が繰り広げられる巨大からくり時計が組み込まれており,中央広場で催される市場と併せて街のシンボルとなっている.
  • 中央広場
  • 美しの泉
  • 旧市庁舎
  • 市立博物館
  • 聖ゼーバルドゥス教会
 ニュルンベルク最大の教会.大規模な改修中だった.もっとも,ここに限らずどこへ行っても大規模改修中の建物が必ず一つ二つはある.建物保存のためとは言え,旅行者としては残念.
  • マックス門
  • カイザーブルク
 街の要塞.神聖ローマ帝国の皇帝の居城とされた.カイザーブルクに限らず,いわゆる欧州の城のイメージとは違う要塞的な古城も古い街には多く,軍事的な見所も多い.
  • ティアゲルトナー門
  • アルブレヒト・デューラー・ハウス
  • ヴァイスゲルバー小路
 木造伝統的家屋が軒を連ねる美しい通り.語弊があるかも知れないが,京都の東山で言う石塀小路的存在.もっとも,小路といっても自動車がすれ違えるほど道は広く,昼間は太陽も十分に射す明るい通りだった.
  • おもちゃ博物館
  • マックス橋
  • ヘンカーシュテーク
  • ヤコブ教会
  • ヤコブ広場
  • ゲルマン民族国立博物館
 ベルリンのダーレム博物館が世界中の民俗に関するコレクションを揃えていたのに対して,純粋にドイツを中心としたゲルマン民族の歴史を辿るという意味ではドイツ国内最大級.一般的な歴史のみならず,音楽や軍事などの展示も充実しており,見応えがあった.
  • フェルベール門
  • カルトケザー門
  • オペラハウス
 ニュルンベルクも交通の便がいま一つ良くないのと,観光ガイドであまり押していない事が相まってか,日本人を一人も見かけなかった.

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【レーゲンスブルク(ドイツ)】★★★★

 旧市街は世界遺産にも指定されている.確かに美しいけれども,個人的にはニュルンベルクの中心街の方が良かった.要するに,世界遺産で若干とはいえ観光地化されているのが惜しい.ただ,この街を訪れたのは世界遺産の旧市街が目的ではなくて,Keplerを訪ねてのこと.Einstein,Schrödinger,Heisenberg,Pauliという現代物理学の四天王は勿論だが,多分この4人より更に天才だったであろうNewton以前のKeplerを忘れないところが我ながら偉い.残念ながら,Keplerの家は土日のみの見学なので,平日に訪れた自分は中には入れなかった.
  • 新市庁舎
  • 市立歴史博物館
  • シュヴァーネン広場
  • 旧礼拝堂
  • 旧穀物広場
  • 大聖堂
  • 大聖堂広場
  • 旧市庁舎
  • 帝国議会博物館
  • 市庁舎広場
  • ハイド広場
  • 石橋
 12世紀に造られたドイツ最古の石橋でこの街のランドマーク.橋はドナウ川に掛かっており,トゥットリンゲンからウルムまでの黒い森の泥沼の様な気味悪さはすっかり消えて,徐々にSmetana風の美しいドナウの水流へと変わって来たのが分かる.
  • ケプラー記念館
  • ケプラー通り
 記念館の中には入れなかった.Keplerが実際に観測に用いた六分儀なども残っており,土日には解説付きのツアーが開催されているようだったので残念.ただ,この情報は知っていて,中に入れないのを承知で訪れたのだけれど,自分の中で最も尊敬すべき物理学者の足跡をもう少しだけ追いたかった.
  • ドミニコ会修道士教会
  • 聖カシアン教会
  • 聖エメラム広場
  • 聖エメラム教会
  • トゥルン・ウント・タクシス城
  • ローマ帝国国境城壁
 ケプラー記念館のほかにも,歴史博物館やドナウ川の水運に関する博物館には時間的に入れなかったのが残念.ただ,現実的には朝からニュルンベルクを散策した帰りだったので,ニュルンベルクのゲルマン民族国立博物館でかなり頭が疲れ切っていて,このくらいが丁度良かったはず.

 残るはミュンヘン,ザルツブルク,ウィーン.今回まで少なめだった,美術,音楽関係はこの後がオンパレード.ウィーンは量が膨大なので,旅のまとめにはあと2回くらい必要.

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【雑談】

 ウルムで泊まったホテルはペンション的な小さな安いホテル.ユースやホステルが無かったわけではなかったのだけれど,少し遠い場所にあったのと,一泊くらいはホテルに泊まろうと思っていたからホテルに宿泊した.シャワーとトイレは共用だったけれど,ユースに比べれば圧倒的に綺麗で清潔で,オーナーのおばさんとも色々話をして来た.

 宿泊関係では色々驚いた点もあるのだけれど,このウルムで驚いたことには,宿泊の際に名前も住所も身分証明も要らず,泊まりたい旨を話したら何の疑いも無しに鍵を渡してくれたのだった.支払は翌日の朝と来た.
 むしろこちらがたじたじしてしまう.治安がいい訳だ.因みにホテルはウルム大聖堂の隣にあって,部屋の窓からは大聖堂が仰げる.ウルム大聖堂が世界遺産にでもなったら(ポテンシャルとしては十分だと思う),こういうホテルにもマナーの悪いアジアンが大量に押し掛けるのかと思うと,少し不安が残った.

2009/06/11

ゲルマン紀行#04

  • 2008年09月18日の旧エントリから転載・改編
 ドイツから一旦スイスへ入国.ここまでのベストシティはベルリン.ただ,正直なところそのベルリンも京都やバンクーバーを超えるかというと,多分同じくらい(改めて見返してみると訪れた時に感じた以上にベルリンはとても魅力的な街だったと思う.ベルリンは空港から中心部までの街並のマイナス点が結構引き摺っていた感がある.).

 ところが,旅のダークホースはスイスの首都,ベルンだった.後述の通り,実は訪れるかどうかすら迷った街だっただけに不意打ちの感動も絶大だった.

 尚,今回の旅のテーマの一つだったのが,物理学者を訪ねる旅(もちろんこれはテーマの一つでしかなかったわけだが).この期待に一番応えてくれたのも実はスイスで,主役であるEinsteinの足跡が沢山残っていたのも嬉しい誤算だった.

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【バーゼル(スイス)】★★★★★

 数学者Eulerの生まれ故郷.と言ってもEinsteinのウルムと同じく,生まれて間もなく転居しているのでそれらしい史跡が残っているわけでもない.日本では,昨シーズンまで中田浩二がバーゼルでプレイしていたので聞き覚えがある街かも知れない.中心街とEulerの生家跡を散策した程度.
 それでも,ライン川を挟んで発展して来た国境の街は,それまでのドイツのどの街よりも欧州らしい雰囲気を漂わせた美しい街だった.チューリヒ,ジュネーブに次ぐスイス第三の都市でありながら,非常に趣深い雰囲気が漂う.

 因みに,バーゼルはフランス・ドイツ・スイスの国境にあるので,ここからフランスにもとんぼ返りで入国出来たのだが,やっぱり時間がもったいないので却下.こういう無駄な入国を頑張れば,今回の旅で7カ国か8カ国位回れたには回れただろう.
  • オイラーホテル
 これはもちろん,数学者のEulerに因んで名づけられたホテル.高級ホテルなので自分の旅程には勿論入らない.Eulerに関する史跡はほとんど残っていなかったが,かつてスイスフランの10SFr札に肖像画が描かれた事もあった天才は国民にとってもポピュラーな存在なようだった.
  • 市立劇場
  • エリザベート教会
  • タンガリー噴水
  • 市立美術館
  • 大聖堂(ミュンスター)
  • ミュンスター広場
 大聖堂はライン川沿いに建っており,大聖堂の裏庭からはライン川と対岸の街並が臨める.この裏庭と表のミュンスター広場は市民の憩いの場ともなっているようで,市庁舎前のマルクト広場に次いで賑わっていた.かといって,店や下世話な宣伝文句がズラリと並ぶでもないところがスイスの良い所だ.
  • フライエ通り
  • 市庁舎
  • 聖マルティン教会
  • マルクト広場
  • 魚市場の噴水
  • 聖ペーター教会
  • バーゼル大学
 奥の方まで入って見れば,ここにはEulerの足跡が随所に残っていそうな気配もしたけれど,時間の関係で軽く流し見する程度に留めてしまった.

  • 聖レオンハルト教会
  • バールフュッサー広場
  • 聖マリエン教会
  • オイラー生家
 結構情報収集をしたのだが,確信情報を得るには至らず,ドイツ語で現地調査して何とか探し当てたのが生家.ただ,何も表示が無かったので,それが本当にEulerの生家かどうかちょっと怪しい.また後で再調査の必要あり.

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【ベルン(スイス)】★★★★★【別格】

 今回の旅のベストシティ.というよりも,これまで訪れた世界の街の中でも断トツの首位.

 スイスの首都.といっても,政治と経済の中心はジュネーブとチューリヒが担っているので,連邦議会がある以外は至って長閑な田舎町.実は,旅程によっては却下最有力候補だった街.それでも結局訪れたのは,Einsteinが相対性理論を書いた街でもあり,旧市街が世界遺産にもなっているとの理由から.

 東南北を川に囲まれた稀有な地形に恵まれ,川向うに山々を臨むベルンの中心街は,見事に現代の風景から切り離されたまさに秘境的な美観.自然の地形と,欧州の伝統的な建築風景が見事に絡み合った世界.旧市街は理想化されたジオラマの中に迷い込んだような非の打ち所のない街並.自然も非常に豊か.唯一残念だったのは,バスとトラムという街の公共交通がどちらも電気稼働なので,街の中心部には電線が張り巡らされてしまっていること.しかし,自然への影響を考えての事がスイスでは一般的な光景であり,一般家庭の電線と違って将来的な改良も容易だろう.
  • 聖霊教会
  • 駅前広場
  • ブーベンベルク広場
  • バグパイプ吹きの噴水
 ベルンには,モニュメントの施されたお洒落な噴水が多く,街のランドマークにもなっている.これらが街の風景に彩りを添える.化け物が子供を食べているような残酷なものがあるのも欧州ならでは.ドイツで観た天気予報では雨が降りそうだったが,バーゼルからベルンに掛けては見事に天気に恵まれたのも良かった.因みに,ベルンでの一夜は激しい雷雨だった.
  • 牢獄塔
  • 時計塔
  • アンナ・ザイラーの噴水
  • 狙撃手の噴水
  • リフリの噴水
  • ヴァイゼンハウス広場
  • 子供喰いの噴水
  • コルンハウス広場
  • 市立劇場
  • ツェーリンゲンの噴水
  • アインシュタインハウス
 Einsteinが特殊相対性理論を書いた当時の家は今も残っている.Einsteinが相対性理論を書いた机を実物で見て,鳥肌が立った.Einsteinが特殊相対論を書いたのは,正規の研究者ではなくベルンの特許局で働いていた時期のこと.数学と物理学で抜群の才能を見せた妻のミレーヴァと共に,仕事の合間に研究を進めたEinsteinの最盛期だとも言える.もちろん,特殊相対論のみならず,ノーベル賞論文の光量子仮説やブラウン運動の論文もこのベルンの部屋で書かれたものだ.

 余談だが,アインシュタインハウスで放送されていたEinsteinの経歴のビデオの中で,一枚の集合写真があった.この集合写真の中に,Einstein,Schrödinger,Heisenberg,Pauliという奇跡の4人が全員写っていて鳥肌が止まらなかった.この写真の正体をハウスの人に尋ねたが,詳細は分からなかった.

 丁度,アインシュタインハウスにテレビ局の取材が来ていたので,独語でインタビューに答えて来た.もしかするとスイスでテレビ出演しているかも.テレビを見ていないので真偽は不明.
  • サムソンの噴水
  • 旗手の噴水
  • 市庁舎
  • モーゼの噴水
  • ミュンスター広場
  • 大聖堂(ミュンスター)
 ベルンの旧市街が一望出来る場所.やはり高所恐怖症が発動して足がガクガクになったが,自然に恵まれたベルンの素晴らしい風景にも出逢えて大満足.航空写真のように街全体は観られないが,塔の頂上を一周すれば,ベルンの市街地と八方を囲む川と山々の見事な風景を臨む事が出来る.
  • 正義の女神の噴水
  • ニーデック橋
  • 熊公園
 「ベルン(Bern)」の語源はクマ.という訳で,街の熊公園(普通の公園なので入場料も無し)では熊が飼育されており,街行く観光客の人気の的となっている.超絶ラブリー.くまタンが可愛過ぎる.これで萌えない方が異常.公園の案内所ではベルンの歴史に関する資料や映像も充実.
  • バラ公園
  • ウィンタートーア橋
  • 伝令の噴水
  • ミューレ広場
  • スイス・アルプス博物館
  • ベルン歴史博物館
  • アインシュタイン博物館
 2005年,日本では静かに幕を下ろしてしまった「世界物理年」だったが,この年にベルンではEinsteinに関する催しが活発化し,当時開催されていた「Einstein特別展」が最近,歴史博物館の一部を独立させて正規の博物館として公開される運びとなったそうだ.ガイドブックにも載っていなかった大規模な「アインシュタイン博物館」(因みに,最新の『地球の歩き方』には一言説明が載っていた.これを観ていたらベルン来訪を迷う事も無かっただろう.)も観る事が出来,ドイツではほとんど残っていなかったEinsteinの遺品や手記の数々を目にする事が出来た.

 スイスとドイツを訪れて再確認したのは,Einsteinはドイツ出身であってもその本質はスイス人だという事.本人も,ドイツに対して良い言葉をほとんど残していないし,ベルンやチューリヒでの生活を恍惚と綴っている点を見てもEinsteinの足跡の多くがスイスにある事は明白だが,今回の旅でそれが身に沁みて分かった.博物館でアインシュタインの資料集を買いたかったのだけれど,あまりに荷物になりそうだったので悩んだ挙句断念.ベルンにはいずれ住むのだ,急ぐことはない(笑).

 尚,Einstein本人は遺言により,記念館の設置はもちろん,埋葬まで拒んだような人だったが,子孫が個人で開いた記念館ではないし,こういう博物館が一つあればいいと個人的に長く思っていたので,ベルンを訪れたのはこの旅最高のファインプレーだった.

 少しだけ余談.アインシュタイン博物館で印象的だったのは,広島の原子爆弾や被害写真と共に,相対性理論との連関が展示されていた事.Einsteinが1999年にTIMEのPerson of the centuryに選出された時,Stephen Hawkingが同誌に次のように寄稿している.

******************************
 マンハッタン計画に参加していないEinsteinに原爆の責任を負わせることは,万有引力の発見者であるNewtonに航空事故の責任を負わせるのと同じだ.原爆の爆発は,Einsteinの心を深く傷つける出来事だったのだ.
(『相対性理論の一世紀』より一部修正)
******************************

 Einsteinのその後の平和活動を見ても明白だが,そもそも相対性理論を学んだ人間ならば,物理学にまで平等と調和を持ち込もうとしたEinsteinの思想が分からないはずがない.
 それでも.
 万有引力が発見されなければ航空機は発明されなかっただろうし,相対論が提唱されなければ原子爆弾は開発されなかっただろう.その本当に僅かな屁理屈を大きな十字架として背負い自責の念に囚われ続けたEinstein. 当人と血の繋がりもない博物館がここまで展示するのはやり過ぎな気もするが,それでも,自分にはEinsteinの遺志を汲んでいるようにも思われ,物凄く厳かに感じられた.今回の旅でEinsteinという存在をいい意味で再発見できた.
  • 連邦議会議事堂
  • 三位一体教会
  • ユダヤ教会
 とにかくベルンは別格に素晴らしい.もはや,これから先ベルンを避けて欧州旅行は出来ないだろう.都市機能は無いに等しいので,住むには不便かも知れないが,むしろ便利過ぎる現代に首を傾げたいくらいの自分には実に魅力的だ.
 京都とは比べ物にならないほど胸躍る街.文化と歴史では京都の方が圧倒的に上だろうけれども,街の風景と秩序と自然,そして相対論の街となれば,自分の中で京都に勝つ余地は無い.どうにかしてベルンに移住するチャンスが掴めないものか.

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【チューリヒ(スイス)】★★★★

 綺麗な街でだったが,生憎の雨に見舞われてしまったことと,前に訪れた街がベルンだったこともあってやや期待外れ.又,バーゼルやベルンと違って,都会色が濃厚目だったのも意外だった点.チューリヒでの最大の目的地はETH.逆に,街の景観を一番の楽しみで来たわけではなかったので,この日に雨が降ってくれてかえって幸いしたと考えることにした.
  • バーンホフ通り
  • ペスタロッチ公園
  • おもちゃ博物館
 ドイツ語圏にはおもちゃ博物館が非常に多い.ここも是非とも入りたかったのだが,残念ながら午後の短時間しか開いていなかったので断念した.結局,チューリヒには午後まで居たので,入れない事も無かったのだが.
  • リンデンホフ
  • アウグスティナー教会
  • 聖ペーター教会
  • ヴァイン広場
  • 市庁舎
  • バイヤー時計博物館
  • パラーデ広場
  • 聖母聖堂(フラウミュンスター)
  • 大聖堂(グロスミュンスター)
  • ギルドホール・ツア・マイセン
  • 国立銀行
  • チューリヒ湖
 晴れていれば湖畔の風景が非常に美しいだろう.午前中は未だ雨が酷くはなかったので,多少遠くの岸まで見えた.
  • ゼクセロイテン広場
  • オペラハウス
  • チューリヒ美術館
  • チューリヒ大学
    • トーマス・マン資料室
    • 自然史博物館
 1833年創立のスイスの最高学府.Einsteinはこの大学に博士論文を提出している.直ぐ隣に立っているETH ZurichがEinsteinの出身校.ただ,後に書くようにETHよりも寧ろチューリヒ大学の方がEinsteinの出身校として売り出している印象.尚,スイスの最高学府と言いつつノーベル賞受賞者ではETHの圧勝.チューリヒ大学の自然史博物館はなかなか面白かった.ベルリンの自然科学博物館は古臭くてイマイチだったが,こちらは無料公開されている上に,剥製を中心に実物標本が非常に充実しており,期待以上.

  • ETH Zurich(スイス連邦工科大学チューリヒ校)
    • グラフィックアート展示室
    • 大学説明会
 1855年創立の欧州の理系大学最高峰.Einsteinの出身校として知られる.Einsteinは後に教鞭も取っており,その他にSchrödingerとPauliも教授として在籍.もうこの顔ぶれだけで普通は失禁するレベル.
 ただ,期待とは裏腹にあまりEinsteinを前面に出しておらず(ウィーン大学でSchrödingerが神格化されて称えてられていたのとは対照的だ),常に未来を見ているようだった.この日丁度,大学のオープンキャンパス的なイベントが開催されており,修士のパンフや入学案内まで貰って来てしまった.最初は入学式かと思ったのだが,見たり話を聞いたりするとそうではなく,公開講義なども企画されていた.残念ながら数学や数理物理系の講義は時間が合わなかったので出席せず.パンフを大量に貰って来たので,これが結構かさばって後々まで大荷物になったというのは笑い話.
  • 州庁舎
  • スイス国立博物館
 非常に充実していた博物館の一つ.特に,世界的に知られるスイス傭兵など軍事関係の展示は面白かった.「家族」というテーマで企画展が開催されていて,スイスを中心とした欧州の家族の歴史や変遷を展示すると共に,様々な大人向けの家族企画が催されていた.こういう企画展は今の日本では流行らないだろうなと思うと寂しいものがある.

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【雑談】

 スイスは物価が高いとよく言われる.それは事実で,例えばMcDonaldのノーマルなハンバーガーが日本円で400円.バリューセットで2000円.しかし,市民が利用するスーパーマーケットに足を踏み入れると,むしろ日本より物価が安いくらいで肩透かしを食らった.基本的に,飲み物や軽食はこういったスーパーで買うようにしていたけれども,500mlのコーラでも100円でお釣りが来るし,マックより遥かに中身の入ったバーガーパンでも200円出せば買える.他の日用品などもEURO圏や日本よりかえって安かった.

 単純に美味しい商売をしているだけなのか,それとも為替などの問題があるのか,法的な規制があるのか,その辺は良く分からないが,スイスの金利が異常に高い理由が何となく分かった気がした.取り敢えず,スイスで生活するにしても思ったほどお金はかからないかも知れないと思った.因みに,今回の旅で一番物価が高いと感じたのはウィーン.

2009/06/10

ゲルマン紀行#03

  • 2008年09月17日の旧エントリから転載・改編
 ケルン周辺からフランクフルトまで.地域的には小さいけれども,割と細かくまわったと思う.フランクフルト以降では一旦スイスに出てから再びドイツに戻って来たので,今回はフランクフルトまでを書き留めておいた.

【アーヘン(ドイツ)】★★★

 オランダとベルギー国境の街.どちらもアーヘンから3kmといった距離にある.観光客らしい姿はほとんど見当たらず,街ではオランダ語やベルギー語らしき言葉も飛び交う.文化も街並みも,良い意味で異国情緒の混在した街だった.
 ドイツの世界遺産第一号となったアーヘン大聖堂が一番の目的ではあったが,本当はこれに加えて記念にオランダとベルギーに入国するつもりでいた.ところが,ケルンからアーヘンに向かう途中の鈍行列車で迂闊にも一等列車に乗ってしまい,多額の罰金を請求されてしまうアクシデント.結局,節約のためにオランダ・ベルギー入りは断念.オランダには画家達を訪ねてまた来訪する機会もあるだろう.
  • 市立劇場
  • フリードリヒ・ヴィルヘルム広場
  • アーヘン大聖堂
  • アーヘン大聖堂宝物館
 八角形の丸屋根を持つ珍しい形状の大聖堂.教会を中心とした放射線状のドイツの街を象徴するように,古い伝統的な細道を縫って進んだ街の中心に厳かに立っている.隣り合って立っていた市庁舎も趣深かった.
  • 市庁舎
  • クーヴェン博物館

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【ケルン(ドイツ)】★★

 今回の旅のワーストシティ.世界遺産のケルン大聖堂は名に恥じず本当に迫力があって内装も非常に美しい.中央駅の目の前に立っているが,駅前から見るよりもライン川やケルン大学など,東西から観た方が二つの塔が連なって外観としては見事.
 ただし,それだけ.ケルンは戦災の被害が大きく,ケルン大聖堂を奇跡的に残した以外は戦争でその街並みのほとんどを失ってしまったとのことだった.結局,後に出来た街は酷く現代的で,市庁舎や博物館など一部の文化施設を除くと寧ろアメリカンな匂いすらする.

 訪れたのが月曜日だったので,博物館・美術館関係は外観のみ.
  • ケルン大聖堂
 言わずと知れたドイツを代表する教会.世界遺産にも指定されており,ドイツでは2番目に高い塔も圧巻だ.実際に塔に登ってみたが,基本的に石で造られた細身の塔を登って行くにしたがって,自分が高所恐怖症であることを思い出す.足がガクガクになりながらも先端に到達.
 ドイツの多くの街では,教会が際立って高い建築物で,教会を中心に街が作られているので秩序的な印象を覚えるのだけれど,ケルンに限っては教会よりも高い建物が雑多にあって,教会中心の区画も無いに等しかった.塔の先端から見る街並は現代的で,遠目に見えるケルンタワーが京都タワーと同じような悲壮感を漂わせる.
 オペラハウスもコンクリート固めで,今回の旅で観た中では断トツで魅力無し.
  • ケルンフィルハーモニー
  • ルートヴィヒ美術館
  • ローマ・ゲルマン博物館
  • ホーエンツォルレン橋
  • 聖マルティン教会
  • 市庁舎
  • 旧市庁舎
 ドイツに限らず,欧州の市庁舎などは教会に勝るとも劣らない見事な伝統建築を採用している場合が多い.このあたりは京都にも言えることだが,市民の生活の一部分にこういう建築が溶け込んでいるという点は日本の見習うべき点の一つだと思う.
  • 聖マリア教会
  • シュニュットゲン美術館
  • 市立劇場
  • オペラハウス
  • ケルン大学
  • 市立博物館
  • 聖ウルズラ教会

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【ボン(ドイツ)】★★★

 言わずと知れたBeethovenの街.街の随所にBeethovenの足跡が残る.中央駅はどことなく汚くて残念だったが,地方の小都市らしい暖かさと活気が感じられる街だった.

  • 大聖堂(ミュンスター)
  • ミュンスター広場
  • ベートーベン像
  • マルクト広場
  • 市庁舎
  • ベートーベンハウス
 早朝に訪れたので残念ながら中には入れず.ボンでは仕事の序に観光に来ていた香港の女性グループに声を掛けられ街中を引きずられて一緒に観光.何とザルツブルクでも偶然の再会.
  • ベートーベンホール
  • オペラハウス
  • ボン大学

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【コブレンツ(ドイツ)】★★★★

 ハノーファーと同じく,本当に少しの時間だけ立ち寄った街.コブレンツからマインツまではライン川沿いに古城が多く残り,クルージングが観光の目玉となっているが,何しろ新幹線の10倍以上時間がかかるので一区間だけクルーザーに乗ってあとは新幹線を利用.時間をかけてゆっくり観たい街.
  • レーア通り
  • ヘルツ・イエズ教会
  • 市庁舎
  • 聖母教会
  • シェンゲルの泉
  • 聖カストア教会
  • ドイツ騎士団の家
  • 選帝侯の城

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【ライン川紀行(ドイツ)】★★★★

 鉄道パスの特典で,ライン川クルージングが無料だったのだけれども,大きく時間を消費してしまうので結局一区間だけ乗って山場の古城地帯は新幹線のICEから楽しんだ.それでも,かなりの数の古城や名所を遠目に確認できて,十分楽しめたと思う.新幹線の線路が西岸なので,基本的にライン川の東岸の眺めしか見られないデメリットはあるものの,ガイドで一つ一つ確認しながらの充実した時間になった.
  • マルクスブルク城
  • マウス城
  • ネコ城
  • ローレライ
  • グーテンフェルス城
  • プファルツ城
  • ライヒェンシュタイン城
  • ラインシュタイン城
 以上二つはライン川の目玉であり,西岸ながら見る事の出来た数少ない城.新幹線からではまともな写真がほとんど撮影出来なかった.ドイツに住むような機会があれば,時間をかけて訪れたい地域の一つ.
  • ネズミの塔
  • ニーダーヴェルト記念碑

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【フランクフルト(ドイツ)】★★★

 ロンドンに次ぐ欧州の金融都市.経済に限らず,内陸の交通や流通の面でも欧州の中心的な都市.今回訪れた都市の中では最も都会的な街.しかし,焦点を美術館や博物館に絞るとなかなか見所も多い.お店のバラエティも多彩で,美味しいディナーも.例によって,太字の美術館や博物館には全て入っている.
  • シュテーデル美術研究所
 今回の旅のVermeer第三号「地理学者」の所蔵されている美術館.今回のフランクフルトの一番の目的地.「天文学者」の対の作品とされているが,読んだ本(小林頼子・朽木ゆり子,『謎解きフェルメール』,新潮社(2003))でも指摘されていた通り,言葉は悪いがVermeerの迷走が始まった作品というのも納得.色遣いやタッチがそれまでの作品と明らかに異なる.それはそれで良いのだけれども,ベルリンで傑作を観ていただけにやや期待外れ.寧ろ,Vermeer以外にRenoirらの作品で魅力的な発見が多かった.
  • リービークハウス美術館
 石膏彫刻を中心とした彫刻美術館.ギリシャ彫刻のコレクションが特に豊富.エジプトなどの古い彫刻も魅力的だった.シュテーデルと同様に,マイン川沿いの閑静な美術館通りの端に位置しており,ルネッサンス形式の建物と庭園のカフェなどもなかなか良さそうだったが,時間をフルに使いたいのでカフェには入らず.
  • 情報通信博物館
  • ドイツ建築博物館
 現代建築と伝統建築が半々くらい.現代建築の展示にも力を入れている辺り,大都市のフランクフルトらしいが,世界各国の建築資料を展示してある割に日本の建築資料が一つも無かったのは残念.ところが,最後の最後に「建築と日本のアニメ」というタイトルで建築・美術的な観点から日本のアニメ研究がなされており,ご丁寧に資料集まで出版されていたのが面白かった.日本よりよっぽどアニメに対する偏見が薄い.
  • ドイツ映画博物館
  • 大聖堂
  • ニコライ教会
  • レーマー(市庁舎)
  • パウルス教会
  • ゲーテハウス
 Goetheの生まれた家.Goetheに関する諸々の遺品や資料に加えて,コレクションとして絵画も沢山揃っていた.
  • ホウプトヴァッヘ
  • カタリーネン教会
  • 証券取引所
 欧州第二の金融都市の証券取引所をスルーするほど馬鹿ではない.NYと同じくブルズ像が取引所の前に立っていたのが面白かった.
  • ゲーテ通り
  • 日本総領事館
  • ユーロタワー
  • オペラ座
  • ユダヤ博物館
 以上,ドイツ編第一部終了.ここまでの旅で,ベルリンは非常に良かったし,美術館や博物館では発見や感動が絶えなかったけれども,全体を通じて街並や文化などで欧州らしさがいま一つ期待に届いていない感は否めなかった.一応,旅のメインディッシュはドイツだったし,この先でベルリンやケルン以上に期待していた街はミュンヘンとウィーンだけだったので,やっぱりイタリアやフランスを選んだ方が正解だったかも知れないなどともちょっと思いもした頃.

 しかし,実際のところ,旅の真のメインディッシュはこの後にあったのだった.

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【雑談】

 欧州には想像通り多くの日本人観光客がいた.もっとも,地味なドイツにはツアー客がほとんどおらず良かったのだが,ウィーンとザルツブルクは英語も喋れない老年日本人ツアー客が多く幻滅した.それはさておき,バックパッカーにせよツアー客にせよ,十中八九持っているのがダイヤモンド社の『地球の歩き方』シリーズ.自分は,ウルムの情報量が多かった別の本を持って行ったのだけれど,『地球の歩き方』にはYHなど貧乏旅行に適した情報も満載で,確かに重宝する.実際,帰国してから書店で復習用にドイツの『地球の歩き方』を買ってしまった.

 ただし,これを持っている観光客はどうしてもここに載っている宿や名所を中心に回るので,宿でも日本人同士で相部屋になるということが多いようだった.聞くと,相部屋が全員日本人などというつまらないケースも.
 自分は大抵,インターネットと現地での情報収集で宿を選んでいたので,2週間で相部屋になった日本人は2人だけ(2人とも大阪大学の学生だった).そういう意味では異国の雰囲気を少しでも楽しめたわけで,良かったとも思う.それでも,改めて比較してみると『地球の歩き方』の方がいろいろな面で便利そうなので,今後の旅の参考にもしたい.

2009/06/09

ゲルマン紀行#02

  • 2008年09月13日の旧エントリから転載・改編
 訪れた順に今回の旅の流れや印象を街毎に書き留めておく.街のサブタイトルの★は五点満点で,太字は比較的時間を掛けた博物館や美術館,名所など.寧ろ細字は殆どスルーした場所.

 おおまかなアウトラインだけ列挙して細かい史跡やコメントは追々追記していく事にする.

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【ベルリン(ドイツ)】★★★★★

 冷戦の影響もあっただろうし,景観に過度な期待はしていなかった.旧西ドイツには多少欧州的な匂いが感じられるかも知れないが,旧東ドイツに至っては無機質な殺風景が広がっているものだと思っていた.
 ところが,事実はその逆で,ベルリンの壁の東側は,古い建築や街並みが多く残っているだけではなく,今尚再建される街がことごとく伝統を踏襲した建築の多い秩序的ないい街だった.ついでに,女性がのきなみ綺麗だったのもベルリン.
  • ティーアガルテン
  • 戦勝記念塔
  • ベルヴュー宮殿
  • ソ連戦勝記念公園
  • 共和国広場
  • 連邦議会議議事堂

 要するに国会議事堂.入るには空港と同様にボディチェックと荷物チェックが必要で,時計を外そうとしたら「ROLEX以外は外さなくて大丈夫」と冗談を言われたので,「多分中国ではROLEXとして売られてますよ」と冗談で返したらジョークのセンスを褒められた.その場に中国の方がいなくて良かった.
  • ブランデンブルク門
  • パリザー広場
  • コミッシェ・オーパー
  • フンボルト大学(ベルリン大学)
 数学者のJacobi,鬼才Von Neumannの母校.今回の旅では時間の関係でどうしてもGaussを訪ねる事が出来なかったので,せめてもの報いと言うか,Jacobiの縁の地を訪れた.と言っても通り掛かりにあるので嫌でも訪れただろうけれど.古本市をやっていて,後述の野外公演が道を隔てて開催されていた時には構内まで人が一杯だった.

  • 大聖堂
  • 旧博物館(現エジプト博物館)
  • 旧ナショナルギャラリー
  • ペルガモン博物館
  • バビロン特別展
  • ボーデ博物館
 以上,博物館島.博物館島の博物館・美術館群はどれも抜群に素晴らしかった.特に,エジプト博物館がベスト.一つ一つが物凄く奥深くて,尚且つ全て共通券で済んだので,予算的にも安心設計.ペルガモン博物館では従来の展示に加えてバビロンの特別展も古代の風俗を直接感じられて面白かった.英語の説明が充実していたので,比較的楽に説明なども流し読み出来た(結局のところ語彙力では圧倒的に英語が独語に勝るのだ.到着して3日程で全盛期の英語脳はほぼ回復した.).
  • シナゴーグ
  • ゾフィエン教会
  • アンネ・フランクセンター
  • マリエン教会
  • 赤の市庁舎
  • テレビ塔
  • ニコライ広場
  • ニコライ教会
  • フランス大聖堂
  • ドイツ大聖堂
  • コンツェルトハウス
  • 検問所跡
  • チェックポイント・チャーリーハウス
  • 自然科学博物館
  • ベルリン中央駅
  • 連邦首相府
  • ベルリンフィルハーモニー(施設内には入れず)
  • ベルリン国立絵画館
 今回の旅でドイツ語圏のVermeer作品6つのうち4つを観てまわる事が出来たが,その内の2枚がこの絵画館蔵.Vermeerの作品と言っても本当にいいと思う絵は半分もないと思うのだけれども,個人的にVermeer全盛期だと思う絵のうちの1枚,「真珠の首飾りの女」がここにあった.
 最初に訪れた時は時間があまりなくて,他の作品を観るのにも時間を割いてしまったけれども,結局Vermeerだけを観に翌日もう一度訪れてしまった.今回の旅で後にも先にも2度訪れた美術館はここだけ.この絵は本当に魅力的で,2回目に訪れた時には絵の前の椅子に座り込んで結局30分も見ていた.こんな経験は初めてだ.東京のVermeerももう一度くらい観に帰りたい.
  • カフェ・アインシュタイン本店
 Albert Einsteinとは多分無関係の,ドイツの有名チェーンカフェ.余談だが,Einsteinとは別に,Ein Stein(a stone;お待ち下さい)という言葉は地下鉄の駅で「Ein Stein bitte.」という形で何度も耳にして,その度にドキリとしてしまった.
  • カイザー・ヴィルヘルム教会
  • ツォー駅
  • シャルロッテンブルク宮殿
  • ベルクグルン美術館
 ベルクグルン美術館は私立の美術館ながら,ピカソの友人の開いた美術館という事もあってピカソコレクションは圧倒的.いわゆる普通の現代美術館でピカソを観るより何倍も迫力と魅力を感じた.実は関空から出掛ける前に大阪の国立国際美術館で「モディリアーニ展」を観て行って,それはそれで非常に良かったのだけれど,モディリアーニとピカソならやっぱりピカソの方が一枚上だと思った.
  • ブレーハン博物館
  • ダーレム博物館
 ドイツ最大級の民族学博物館.広さ的には大阪の万博公園の国立民族学博物館の方が大きいくらいかも知れないけれども,揃えてある展示品の多彩さはこちらの方が面白みがあった.日本の展示も充実していたが,その中で祭に関して祇園祭とまさかの埼玉の秩父夜祭の二つが同列で展示されていたのにはがっかりした.
  • ベルリン自由大学
 本業の研究関連で来訪.Feynmanの後継者を訪ねて.指導教授が2年間研究員として滞在していた大学なのでコネもアリ.今度はキチンとした論文を携えて公費で研究来訪出来たらいい.
  • ツォイクハウス(ドイツ歴史博物館)
 ドイツの「博物館」の中では一番面白かった.古き時代の展示,特にルターの宗教改革にまつわる辺りの展示は勿論の事,ナチス政権や世界大戦への反省が色濃く感じられたのが印象的.靖国神社にも見習って欲しい.尚,今回の旅で最初にEinsteinの生の遺品を観たのもここ.
  • ベルリン国立歌劇場
 今回の旅のベスト3に入る感動がここ.オペラシーズン開幕を控えて,国立歌劇場の庭園で市民に対して年に一度無料開催されるベルリンフィルの野外公演を聴く事が出来た.大スクリーンに映し出し,音はスピーカーで街中に飛ばすような大規模なクラシックライブで,勿論,間近では観られなかったけれども,前日にうわさを聞きつけ駆けつけたら,クラシックにうとい自分でも鳥肌が立つような見事な音の空間に時間の経つのも忘れてしまった.
  • ベルリンの壁
  • ベルリンの壁監視塔
  • ベルリン国立絵画館(2回目)
  • ソニーセンター
  • フィルムミュージアム
  • ダイスラークライスラー・アリアール
  • マレーネ・ディートリヒ広場
  • 新ナショナルギャラリー

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【ポツダム(ドイツ)】★★★★

 ポツダム宣言で知られるポツダムはベルリンから目と鼻の先.ベルリン滞在中に半日だけ足を伸ばした.世界遺産のサンスーシー宮殿も素晴らしかったが,市民の生活の場となっている普通の街並がベルリンよりも控え目で良かった.ポツダム会談の場となったツェツィリエンホーフ宮殿は時間の関係で中には入らず.
  • サンスーシー公園
  • サンスーシー宮殿
  • 新宮殿
  • 中国茶園
  • シャルロッテンホーフ宮殿
  • オランジュリー(温室)
  • ツェツィリエンホーフ宮殿
  • ルイーゼン広場
  • ブランデンブルク門
  • グーテンベルク通り
  • 聖ペーター&ポール教会
  • ポツダム映画博物館
  • ニコライ教会

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【ハノーファー(ドイツ)】★★

 残念ながら1時間だけ立ち寄っただけなのでそれらしい場所はまるで見られていない.ブレーメンにいけなかった代わりに,時間的に余裕がなく苦し紛れに寄っただけ.ブレーメンは,いずれフランス・オランダからブレーメン・ドレスデン経由でチェコに行く旅程を組んで訪れたい.
  • 旧市庁舎
  • オペラハウス
  • エギディエン教会
  • ライネ城

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【雑談】

 旅を通じてガイドブックにも載っていない大きな教会が多く驚いた.有名な教会にはほとんど入って来て,微々たるながらも寄付を志納して来たけれど,そうでなくともどの街や地区でもキリスト教会が街の中心になっているのが美しかった.特に,ドイツの街は歴史的に教会を中心に創られて来た文化があって,今も教会より高いビルやアパートが少ないのも秩序的な魅力の一つ.

 只,秩序的ではないにしてもガイドブックに載っていないような小さな,教会ならぬ神社や寺院はそれこそ京都にも同じように無数に存在して,自分達が普段意識せずに通り過ぎている無名の神社やお寺にも外国人観光客はひとつひとつ感動し,文化の面白さを発見していくのかも知れないと思うと,逆に京都の魅力も改めて感じた想いがした.

2009/06/08

ゲルマン紀行#01

  • 2008年09月12日の旧エントリから転載・改編
 9.11発の便で,無事日本に帰国.実に9年振りの海外,初の欧州紀行を終えた.

 感動もあり,発見もあり,失望もあり,トラブルもありの実り多い旅となった.夜は9時近くまで明るいドイツの夏の時間をフルに使って,ほとんど時間や体力と格闘するかたちで旅をこなして来た.予算的には幾らか余裕があった反面,時間的にあまり余裕がなかったので,別の機会にフランスやイタリアを中心に周りたい.

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 昨年,日本全国制覇を果たして,やっと海外に行く準備が整った.これまで,カナダ・アメリカ・オーストラリアと比較的新しい国を渡っては来たが,欧州をはじめとする歴史の深い国々をしっかり観るには,ある程度比較対照があった方が面白いと思っていて,そんなところから,欧州渡航は全国制覇のあとと以前から決めていた.

 一方,それなら歴史も国民性も文化も色濃いイタリアやフランス,スペインとなるのが普通だけれども,ここで敢えてドイツという地味な国を選んだ理由は一つしかない.Albert Einsteinだ.高校の時に独学でドイツ語を勉強し始めた動機も,Einsteinの原文を読みたかったからだった.
 縁あって,ドイツ語は半端ながらにも大学で4年間勉強する機会に恵まれ,それなりに読み書きは出来るようになった.そんなわけで,今回晴れて,ドイツを中心にドイツ語圏のドイツ・スイス・オーストリアを旅する運びとなったのだった.

 前置きは長くなったが,今回の旅のあらましを街やテーマ毎に雑記帳くらいのつもりで書き留めておこう.今回の旅で歩いた各国の街は以下の通り.順番は訪れた順.★は今回の旅のベスト5の街.

【ドイツ】
  • ベルリン★
  • ポツダム
  • ハノーファー
  • ケルン
  • アーヘン
  • ボン
  • コブレンツ
  • フランクフルト
  • ウルム
  • アーレン
  • ニュルンベルク★
  • レーゲンスブルク
  • ミュンヘン
 時間と日程の都合上,ライプツィヒ,ドレスデン,ハイデルベルク,ノイシュバンシュタイン城に行けなかったのは残念.尤も,この半年が余りにも忙し過ぎて殆ど旅の日程を立てられないまま出発を迎えたので,往路の飛行機と空港での待ち時間をフル利用して旅程を綿密に組み込んだ程だから,まずまず合格点だ.
 ウルムを削ればこれらの街に行く事も可能だったが,ウルムでの宿泊は今回の旅のメインディッシュだったので断念した.

 又,ベルリンだけ3泊予約をしてしまっていたので,この1泊をライプツィヒかドレスデンに変更出来れば,ゲルマン圏のVermeer制覇が出来ただけに惜しい.只,ドレスデンはチェコとの国境にあるので,追々チェコを訪れた際に行けるだろうと踏んで却下した.

 今回の旅のワーストシティがケルン.ワーストと言っても見所はあるのだけれど,京都と姉妹都市契約を結ぶにはあまりにお粗末.戦争による被害も大きかったらしい.その辺りは別記する.

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【スイス】
  • バーゼル
  • ベルン★
  • チューリヒ
 いわゆるスイスらしい山間部へは行っていない.ベルンには行くかどうかは迷ったものの結局行った.このベルンが今回の旅は勿論,過去に訪れた街の中でも別格のベストシティ.多分,イタリアあたりに行けばこういう街は沢山あるのだろうけれども,最後の街となったウィーンさえ霞んでしまうほど圧倒的に美しかった.
 街並み以外の部分でも,実は一番期待に応えてくれた街がベルン.その辺は言わずもがな.

 物価が高いと評判のスイス,確かに評判通り見かけ上は異常に物価が高いけれども,市民向けの量販店に入ってみると驚くほど物価が安く,自分もこういう所を大いに利用させてもらったので想定していたよりずっと少ない予算で済んだ.実際,一番物価が高いと感じたのはウィーンだった.

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【オーストリア】
  • ザルツブルク★
  • ウィーン★

 2ヶ所しか訪れていないものの,2ヶ所とも素晴らしかった.只,それは総合的に見ての話で,特にウィーンは京都と同じで,歴史や文化などで圧倒的に好印象な反面,都会的なマイナスポイントもあった.
 それでも,ウィーンは3泊して十分に散策も出来たし,色々とウィーンならではの娯楽も愉しめたし,お金はかかった分,いい時間が過ごせた.

 渡航の前に,西洋音楽史の本を読み込んで行ったおかげで,ウィーンが何倍も愉しめた.今回の旅での一番の収穫は,ひょっとすると今まで以上にクラシックに親しみを持てたことだったりするかも知れない.

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【世界遺産】

 もう日本を見ていても分かる通り,世界遺産か否かは重要な問題ではなくて,実際に欧州では世界遺産である事なんか誰も気にしていなかった.それでも,世界遺産は見る価値のある場所の十分条件ではあると思うので,今回訪れた世界遺産群もリストアップしておく.
  • ベルリン博物館島(ドイツ)
  • ポツダムとベルリンの宮殿群と公園群(ドイツ)
  • ケルン大聖堂(ドイツ)
  • アーヘン大聖堂(ドイツ)
  • レーゲンスブルク旧市街(ドイツ)
  • ベルン旧市街(スイス)
  • ザルツブルク旧市街(オーストリア)
  • ウィーン旧市街(オーストリア)
  • シェーンブルン宮殿と庭園群(オーストリア)
 今回の旅を通じて言える事だけれども,比較的天候に恵まれたのは良かった.特に,長期滞在していたベルリンとウィーンは毎日快晴で,庭園や宮殿群も心地よく歩けた.

 あとは,世界遺産とは無関係だけれども急遽予定に組み込んだVermeerも,ドレスデン以外は4作全て観る事が出来た.東京でVermeerを観るのがあと10日早ければ,ドレスデンも入れた旅程も組めただろうがそれは次の楽しみという事で.

 又,今回の旅では博物館と美術館を嫌になるほど巡り巡ったので,宿泊費なんかより拝観料の方が遥かに多く掛かった.国内の,特に幕末史跡を巡る旅ならば石碑を追うのに時間は掛からないけれども,今回は頭がパンクするくらい一つ一つに時間を掛けたのも特徴的.

2009/06/07

ルーヴル美術館展―17世紀ヨーロッパ絵画

  • ルーヴル美術館展―17世紀ヨーロッパ絵画
  • 国立西洋美術館
  • 2009年03月30日の旧エントリから転載・改編
 先々週,完全プライベートで一日東京に遊びに行って来た.目的はシンポジウムとライブと,そして国立西洋美術館で開催されていた美術展「ルーヴル美術館展―17世紀ヨーロッパ絵画」.東京でしか開催されないと思っていたのだったが,何と6月からは同じ企画展が京都に来るとの事.しかも自宅から徒歩5分の一番近い京都市美術館での開催だというから,微妙にガッカリだ.東京遠征の目的がこの美術展だけじゃなくて良かった.

 17世紀,と時代を絞ってLouvreの作品群を集めた企画展.六本木の国立新美術館では,絵画ではない文化遺産を同じくLouvreから寄せて企画展を開催しているけれども,こちらは大阪に来る事を知っていたのでスルー.

 さて,企画展の感想はと言うと,イマイチ.最大の理由は……混雑!

 三連休だったという事もあって,開場前から長蛇の列.雨の中1時間弱も並んでしまったし,中もおしくらまんじゅう状態.昨年末の2度目のVermeer展のときよりはまだいいとしても,完全にVermeerブームのあおりを受けた格好だ.

 かくいう自分も,目的の一つはVermeer.ただし,今回来日している「レースを編む女」はVermeer通の間でもあまり評価の高い作品ではないし,画集で観る限り自分もいま一つ惹かれるところがなかった.だからむしろ,どれくらい駄作なのかを確かめるくらいのひねくれた気持ちで企画展に行ったのだけれど,これまで見た傑作と比べるとタッチも荒く,何よりVermeerの最大の魅力だと感じている素朴さと光のコントラストが弱かった.

 絵画の見方は人それぞれだけれど(本音を言うと一般的にはそうでもなくて,先日も少し触れたように近代以前の芸術にはある程度想定された「見方」と「評価基準」と「作法」があるのだとは思うけれども,それを感じさせないのが逆にVermeerの魅力でもあると思う.),Vermeerという名前だけで絶賛したり唸ったりする中年世代の多い事に逆に興醒めしてしまった.

 他の作品も個々の作品では時代に屈せず独創的だったり,技巧的だったりするものもあったけれども,人が多過ぎてじっくり観られなかった上にテーマが今一つ弱くて,どちらかと言うと年代別のヒットソング集アルバムみたいな感じだった.
 美術展の常設展がある意味でベストアルバムで,企画展の魅力はもっとテーマが絞られていたり強烈だったりするところにあると思うので,企画展としては期待したほどではなかったかも.いずれにしても,もう少しじっくり観たかったので,京都に来たら散歩がてらもう一度ゆっくり観に行こうと思う.

 一方で,久し振りに観た西洋美術館の常設展の方がなかなかいいコレクションで楽しかった.昨年,Corotの展覧会で訪れた際には時間の関係で常設展はスルーしてしまったけれども,今回は時間に余裕があったのでゆっくり観てまわれた.ジャーナリスティックな印象の強いMilletの宗教的絵画や,MonetやRenoirの名作など,企画展に勝るとも劣らない作品群.人もまばらで,西洋美術館のセンスを存分に堪能出来て良かった.

2009/06/06

作者をせかす6人の主人公たち

  • 2009年02月13日の旧エントリから転載・改編
 昨日は,企業のセミナーとR&D見学会があって東京に帰っていた.夕方には終わる日程だったので,新幹線で京都まで帰っても良かったのだけれど,丁度気になっていた舞台の公演と重なったので,先日思い立って予約.久し振りの観劇をして来た.むかしから観劇も割としていて,京都に来て間もない頃は何度か京都劇場で公演を観た事もあったけれども,この数年はすっかりご無沙汰だった.それこそ,近年では昨年Wienで観たオペラくらいのものだ.

 観て来たのは,「作者をせかす6人の主人公たち」という作品.あとで聞いた話では,Pirandelloという作家の戯曲に『作者を探す六人の登場人物』という作品があるそうで,どうやらそのタイトルをパロディっているらしい.文学に疎いので,その辺のバックグラウンドがあったらもう少し違った楽しみ方が出来たかも知れない.あとで要復習.

 一応,あらかじめ告白しておくと,元々この舞台を見ようと思っていた切っ掛けは,他でもない折笠富美子さんが出演しているからという極々ミーハーなもの.ただし,単純に折笠ファンだからというだけではなくて,劇団出身ながら今は声優に特化している役者さんの本領を観たかったから,というのがある.

 演劇の場合,俳優の演技だけではなく,脚本,演出,音楽などなど,あらゆる観点から愉しめるという魅力がある.多次元的だからこそ,作品や舞台毎の比較なんて易々と出来るものではない.

 が,結論から言うと,脚本が残念.特に,カーテンコールに向かう20分間の脚本が非常に残念.全体を通じては,俳優さんの本人のキャラクターに媚びてしまった感が否めない.それはそれで面白いけれども,素人目には舞台という「非現実」の世界に徹した方が作品のインパクトは際立つ,と思っている.キムタクのドラマがキムタクのキャラクターに媚びてしまっているのと似ている.後半は,もう少し設定を活かして欲しかったかなぁ…….話の運びや流れが雑な感じ.尤も,“そういうものだから”それはそれとして面白味があっていいのだろうけれど.この脚本だからこそ感じた想いたちがあるのだから.

 コメディというだけあって,2時間半,笑いは絶えなかった.脚本云々は,「芸術」というカテゴリだからこそあとで冷静に考えてみた無責任な言い草を書いてみただけであって,観ている間はそんな事はお構いなし.

 音響や音楽は可もなく不可もなく.ミュージカルというにはやや曲のバラエティや魅せ所が乏しかったかも知れない.歌で言えば,後述の折笠富美子さんも含めての中で別格に歌に迫力があったのが,若干13歳の女の子.信じられないくらいの歌唱力.これが劇団育ちの本気か.

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 そして本題,折笠さんの演技力,歌唱力が想像以上!それ以前に,ルックスも直球ど真ん中の折笠さんを見られただけで失神寸前なのに,専業俳優顔負けで舞台を引っ張れるのだから凄い.声筋や旋律にブレが無く,それでいて声の通りも抜群.CDでも歌が上手だとは思っていたけれど,そんなもの比じゃなかった.言葉もホール全体に一語一句通る.普段の声優業でも,そういう滑舌の良さが特徴的ではある.

 もう,舞台終わった直後から胸がキュンキュンしっぱなし.

 決定打は,パンフレットに寄稿してあったインタビュー.何となく裏表を感じるキャラクターではあるけれども,これだけ素敵なこと書かれたらもう積極的に騙されたいと割り切れるくらいに気持ちのいいコメントが寄せられていた.是非,恋人立候補させて下さい!って感じ.

 舞台は好きな俳優さん目当てで行くべきではない,と思った.折笠さんが指揮を取っていないシーンも基本的に折笠ゾーンに視線が注がれてしまうので,多角的に舞台を楽しむという本義を純粋に貫けない…….

 余談ながら,実はこの日,会場のお客さんで豊口めぐみさんを発見.しかしながら本人かどうか微妙に自信が持てなかったので声は掛けず仕舞い.京都に帰って調べてみたら案の定本人だった.好きな声優ならぬ,好きな女優さん2トップを一晩で見られるなんてなんてラッキー!

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 さて,最後に少し思ったところをツラツラ.

 エンターテイメントとか芸術とかって,単純に心地いいと素朴に思った.演じている本人達も本当に好きで演じていて,観ている観客達は心から楽しめる.誰も損する人がいない.世が世なら,自分もこういう世界に飛び込んでいたかも知れないなと思うと,少し心残りにさえ思う.俺は何をしているんだ,と珍しく悲観的に思ってしまった.

 世界中を笑顔にしたい,とまで大きな想いは無いけれども,自分のせいで誰かが苦しむような仕事は嫌だなとぼんやりと思った.この一時の思いでふっと芸術の世界に飛び込むほどの度胸は無いし,自分は他に意義を見出せるフィールドを沢山持っているからそれはそれでいいのだけれど,そんな事を考えてみてちょっと進路選択に迷いを感じてしまった.

2009/06/05

静物画の秘密展

  • 2009年01月10日の旧エントリから転載・改編
 「静物画」を英語では「still-life」と訳す(勿論,これは言葉の綾であって,実際にはstill-lifeを日本語で「静物画」と翻訳した,というのが正しい.)ということを,先日弟から聞いた.同じ言葉を比較したとき,大抵の言葉は英語よりも日本語の方が深みがあって美しく感じるのだけれど,珍しく「静物画」に関しては英語の響きの方が耳に心地いい感じがした.

 さて,今年最初の美術展は,兵庫県立美術館で今月6日から開催されている「ウィーン美術史美術館所蔵・静物画の秘密展」だ.実は,去年の夏から東京,仙台と渡って来た美術展で,年をまたいでようやく関西に来たものだ.

 夏に本家のウィーン美術史博物館を訪れた際に,一部の展示品が「出展中」となっていたのは,ほかでもない日本に来ていたからで,実は渡独の前からそれは知っていたから,自分にとっては今回の美術展がある意味で昨夏のゲルマン紀行の閉幕,くらいに楽しみにしていたものだ.公開初日は夕方から仕事が入っていたので外し,2日目の平日を狙って行って来た.

 美術展は4部構成になっていて,
  • 第1章「市場・台所・虚栄の静物」
  • 第2章「狩猟・果実・豪華な品々・花の生物」
  • 第3章「宗教・季節・自然と生物」
  • 第4章「風俗・肖像と生物」
と題される.今回の美術展の一番の目玉作品はVelázquezの「薔薇色の衣裳のマルガリータ王女」とされているが,先月の2度目のVermeerやらなんやらで人混み慣れしていたので,閑散とした会場は却って肩透かし.目玉作品も独占状態だ.
 流石に名作と呼ばれるだけあって,タッチや色遣いの強弱やコントラストが面白かったし,実はこの作品の対になっている作品をウィーンで観て来ているので,その対比も楽しかった.欲を言えばもう少し沢山観賞用の椅子があっても良かったかな.

 最後の売店にて,美術展の目録が2300円で販売されていたのだが,その横でドイツ語の白黒の目録が300円でひっそり売られていたので,迷わず独語版を買って来た.ということは,恐らくこの美術展はウィーンか或いはドイツ語圏のどこかの美術館で一度企画展として開催されていたのだろう.

 静物,と一口に言っても広い.

 第2章以降は花を中心とした静物画が主で,そうした素養のある人達にとっては美術以外の愉しみ方も出来そうな作品ばかりだったが,むしろ自分にとって発見だったのは第1章の寓意的な静物画の方だ.
 髑髏をモチーフの中心とした「虚栄(ヴァニタス)」と呼ばれる作品群や動物の死骸をモチーフにした狩猟画の,非常に生々しく,リアルで,それでいてその中に宗教的な意図や寓意が込められているあたりが写真とは違う絵画特有の魅力をプンプン漂わせていた.タッチや色遣いだってVelázquezより断然好みで,このフロアを抜けるのに1時間掛けてしまった.Jan Weenixの「死んだ野兎」がベストヒット.

 人によっては「悪趣味」とあしらってしまいそうなチョイスだが,クラシックな静物画の源流が垣間見られた気がする.しかし,美術展の「目玉」になっていないせいか,売店の絵葉書には虚栄(ヴァニタス)の作品が一枚も見当たらなかったのが残念.

 ウィーン美術史博物館で観たVermeerの「絵画芸術の寓意」も,寓意的なモチーフが込められるようになった後期の作品で,美術史博物館のコレクション達の横の糸もうっすら感じられる.

 余談だが,美術展には美術館と違った面白さがある.美術館は言わばオムニバスアルバムのようなもので,テーマや趣向といったものは後回しにされがちなのに対して,美術展で集められた作品達は大抵の場合,一定のテーマや時代,画家達の中から集められた作品群であり,その中には普段見落としがちな作品も,物語を紡ぐ一本の糸として輝きを増す.

 いわゆる美術館的な集め方もいいが,日本の美術館はもう少し日本の美術に力を入れたら,世界からも一目置かれるいい空間になるんじゃないかなと思う.その意味で,今回の展覧会が開催されていた兵庫県立美術館は,割と日本画のコレクションが豊富(特に,兵庫ゆかりの画家として金山平三と小磯良平のコレクションが良かった.)で,3時間もかけて贅沢に美術展を観たあとのいい口直しになった.

2009/06/04

コロー―光と追憶の変奏曲

  • 2008年08月17日の旧エントリから転載・改編
 上野の国立西洋美術館で開催されていた「コロー―光と追憶の変奏曲」展へ.今年は観たい美術展や博物展が幾つもあって嬉しい.時間とおさいふの許す限り出かけたい.それこそ,美術展一つを観に日帰りで東京に帰っても構わない位の行動力と情熱は持っている.

 Barbizon派の骨のある展示は山形以来.今回の目玉になっている「真珠の女」には特別興味はなくて,CorotというよりはBarbizon派の風景画が目的だった.

 Vermeerの記事でも書いた通り,宗教画ではなくて農民達の素朴で雄々しい生活が感じられる彼等の作風が好きだ.Milletにその特徴が顕著なのに対して,Corotの絵は人物がアクセント程度にしか登場していないものが多く,却って自然の雄大さが誇張されていて良かった.印象的にもそうだし,実際,方法論としても,人物が縮尺としての基準になってより風景が合理的に写実されると思う.

 また,印象派への影響力も小さくなかった事からRenoirの絵も展示されていて,先日京都で観た絵も.只,京都の時よりもRenoirのチョイスが良かったと思う.マスコミの宣伝効果もあってか,「真珠の女」の前には行列が出来て来たけれど,むしろ対面して展示されていたRenoirの女性の肖像画の方が気にいった.

 想像していたよりだいぶ人は多かったけれども,自分の観たかったあたりは比較的ゆっくり観られたし,Milletとはまた違った魅力も再発見.フランスに出かける機会があればBarbizonは必須だ.

 ともあれ,それでも全体としてのインパクトはVermeerの方が圧倒的に大.時間が無いので悠長な事は言っていられないけれども,渡独の前にVermeer関係の本を一冊読んでおきたいところ.

2009/06/03

フェルメール展―光の天才画家とデルフトの巨匠たち

  • 2008年08月16日の旧エントリから転載・改編
 6日間の短い帰省ながら,相変わらずの過密日程.中学以降は基本的に新宿中心だったけれども,上野は,家族で出掛ける事の多かった小学校時代からの長いホームタウンだ.

 この夏は上野にVermeerが来ているとの事で,東京1日目に上野の「フェルメール展―光の天才画家とデルフトの巨匠たち」に行って来た.Vermeerと言われても,日本で知られている「真珠の耳飾の少女」くらいしか思い当らなかった自分.現存するVermeerの作品が世界中で30点あまりという希少な存在である事も今回のVermeer展に因んで初めて知った.そのうちの7点が一挙に来日しているというのだから,この機会は逃せない.

 Vermeerの絵画は作風自体が極端に写実的という訳ではなくて,むしろ色遣いに関しては単色からのグラデーションによる鮮やかさが映える感じだったけれども,それでいて下手な写実画よりも生々しい現実感があった.

 一枚のさり気ない絵の中にふんだんに組み込まれた物語と伏線.時間をかけて絵を観終わった後に,美しい小説を読み終えた後のような心地良さが残る.こういうのは理屈やウンチクじゃない.多分,そういうVermeerの魅力を上手くとらえた展示法や空間の工夫も一役買っていたのだろうけれども,それにしたって,ここ何年かで観た美術展の中では抜群に良かった.

 Vermeer以外に集められたオランダはデルフトにまつわる画家達の絵もことごとく見事というほかことばが見つからない.興味が無いわけではないけれども基本的に宗教画よりも風景画や人物画の方が好きな自分にとっては,パーフェクトに近い美術展だった.

 Vermeerの絵の何枚かはドイツとオーストリアにあるから,旅立つ前にメモは控えておこうと思った.明日も東京だ.時間があれば,西洋美術館のCorot展も観て来たい.

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【追記】

 2008年12月,欧州のVermeerを見た上で2回目の来場.公開当初とはうってかわって,異常なまでの客入りにゆっくり観る事は出来ず.それでも,来日していた作品達の中で「リュートを調弦する女」はベルリンで観た傑作と並んで今のところVermeerの双璧となっている.再び観る機会が持てて良かった.次はメトロポリタンでの再会を望む.

2009/06/02

ルーヴル美術館展―フランス宮廷の美

  • 2008年05月31日の旧エントリから転載・改編
 久々に休日らしい休日.

 課題やタスクが無い訳ではないけれど,この機を逃すと当分休日は論文とプログラミングに追われそうなので,思い立って神戸市立博物館の「ルーヴル美術館展―フランス宮廷の美―」へ.

 美術館,と言ってもフランス宮廷はルイ15世からルイ16世のフランス革命前の時代の美術とアンティークの展覧会.アンティークに思い入れがある訳ではないのだけれど,今回は骨董美術に胸躍らされた.単純に,優雅さだけではなくて,絵画と彫刻が日常の中に本当に贅沢に生きている.

 況して,その個々の骨董が機能美まで備えていたりするから妙としか言い様が無い.時計の形式が今とは全く違っていて,地球儀の赤道部分が回転して時を刻むような形のものに,卓抜した彫刻が備わっていたりする.流石はフランス.遠くないうちに芸術の都を訪れない訳にはいかない.

 絵画に関しても,2日前にRenoirを観たばかりだった事もあって王道の西洋画に惚れぼれ.ついでに,Marie Antoinetteのイニシャルロゴがカッコ良過ぎる.

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 市民革命のあたりの世界史は好きで,関連書を読んだ事もある.

 ときに美術も歴史の語り手となる.主観的で情熱的に語ってくれる.それも面白さの一つだ.今回の美術展は,そういう匂いがふんだんに感じられたのも良かった点の一つ.

2009/06/01

ルノワール+ルノワール展

  • 2008年05月29日の旧エントリから転載・改編
 研究会まで時間があったので,京都国立近代美術館の美術展に行って来た.

 国立美術館も市立美術館も目と鼻の先にあるというのに,ここ1年は忙しくてどちらもご無沙汰していた.知らないあいだに京都と奈良の国立博物館や国立美術館は一部の学生に特別割引が適用されるようになっていたのを少し前に知って,久々に足が向いた.最近は大阪や神戸の方が見たい展覧会が多かったので,近代美術館は藤田嗣治展以来かも知れない.

 印象派,写実主義,それぞれ善し悪しがあると思うし一概に比較は出来ないけれど,印象派は画家達の色眼鏡が掛かるから面白い.尤も,個人的にはどちらかと言えば写実主義的な絵の方が好きかな…….ともあれ,巨視的と微視的,というコントラストではなくて,小説と新聞記事,というコントラストに近い.強烈な主観を,印象派の絵の中だけでマクロにもミクロにも感じられる.

 遠めに見ても近めに見ても,感性がじわじわ滲んで来るようで,結局,じっくり時間をかけて観るには印象派の方が面白い.技巧的な事に理解がなくても観られる安心感もある.

 今回のRenoirに関しては,結局,「描きたい」という衝動から対象を描いている感があって,全体的に似たような雰囲気の絵が多かった.印象派の画家達の絵は,画家一人に絞って観るよりも,絵を一枚に絞って様々な画家達の絵を見る方が楽しいと思う.

 今回は息子のJean Renoirの映画と対比的に展示された展覧会だったので,そのコンセプトはとても面白かったけれど,残念ながら息子さんの映像の方には全く魅力を感じなかった.

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