2009/09/29

雑記#006

 就職関係で東京へ.研究も切羽詰まっていて余裕はないが,この秋の数少ない楽しみだと思って1週間の滞在だ.美術展と観劇,小旅行などを計画している.

  • 古代ローマ帝国の遺産@国立西洋美術館
  • トリノ・エジプト展@東京都美術館
  • 聖地チベット―ポタラ宮と天空の至宝@上野の森美術館
  • THE ハプスブルク@国立新美術館
  • 「鹿鳴館」@劇団四季
 観劇に関しては,本当なら「アイーダ」を見たかったのだが,会社の都合で日程を早々に組めなかったので,目処が立った時には既に完売.「コーラスライン」も観たいので,「アイーダ」とセットで観劇すべく,学園祭の長期休暇中にもう一度東京に帰ってこようかとも思ってはいるが,その辺りは修士論文の進捗状況と相談してといったところだ.

 あとは,友人達と会う予定が入っているのと,飲み会の予定.アルコールは原則苦手だけれど,飲み会は好きという人だ.それでいて,馬鹿騒ぎしている中で,やれ芸術の虫ですとか,歴女ですとか,バックパッカーですとか,そういう人もちゃんといるから面白い.話の内容の濃い馬鹿騒ぎっていうのは本当に面白い.

2009/09/25

Erin Brockovich (2000)

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 どの程度ドキュメント要素が入っていたのか気になるトコロ.

 Julia Robertsが覚えている原告側の情報を淡々と語って行くシーンが猛烈にカッコいい.本当に実力や才能を持った人が,世間体や肩書きをモノともせず下剋上するストーリーっていうのは痛快でいい.突き詰めれば金銭的な問題を扱う裁判の世界で,敢えてお金の存在を前面に出しておきながら一貫して汚さを感じさせない展開が良かった.

 多分自分は当面,世間体も肩書きもある程度ある側になってしまうのだと思うのだけれど,そういうものは抜きにして地に足を付けて行きたいと思う.

 それだけに,ラスト20分間でもう一つ盛り上がりが欲しかったと言えばそうなのだが,そうすると普通のエンタメになってしまってドキュメンタリーとしての価値が半減してしまうのかも知れない.少なくとも,失敗はしていなかったと思うし,後味も良かった.

2009/09/22

Something's Gotta Give (2003)

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 Diane Keatonが素敵な映画.

 Keanu Reevesが完璧過ぎる.それだけに,Julianが最後にあっけなく手を引いてしまうところとか,Ericaがサラッと切り替えてしまうところとかが,少し安っぽく見えた.広告やDVDジャケットにKeanu Reevesが並んでいるのは,日本仕様との事.Keanu Reevesがいない方がコンセプトには合致していたと思うが,広告戦略としては大アリだったのだと思う.

 ストーリーは嫌いじゃない.モチーフが中年層よりも更に少し上だったので,新鮮味があって良かった.それより何より,この映画で良かったのは音楽.「The Holiday」でNancy MeyersとHans Zimmerのコンビが良かったので,今回もそれを期待して観たのだが,期待を裏切らないセンスで後味がものすごく良かった.

 あとは,重過ぎず軽過ぎず,適度な距離感を感じさせる邦題がいい.

2009/09/19

Some Kind of Wonderful (1987)

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 観ていて思わず吹いてしまった.

 コテコテの型にはまった王道青春ラブストーリー過ぎて,観ているこちらが恥ずかしくなってしまうような作品.Yahoo!映画での評価が異常に高いのが不思議なくらいだけれど,翌々考えてみれば,公開された1987年当時にしてみれば,新鮮味あふれる映画だったのかも知れない.

 よく聞く笑い話で,Shakespeareのハムレットを観て「ことわざばっかりで気取った演劇だ」と酷評する人がいるというのがある.実はそのことわざ全てが,ハムレットを起源にしているというジョークなのだけれども,ひょっとすると,自分たちの世代がこの作品を見て「王道」と感じるものも,実際にはこの作品が王道の起源の一つになっていたりするのかななんて思ったりもした.

 とは言え,IMDbの評価はイマイチなので,単に日本人の感性にフィットしているだけなのだろう.純愛ストーリーが大好きな自分でも引いてしまうくらいの映画だった.

2009/09/17

雑記#005

 25歳.アラサー突入.

 一浪して大学院まで進むと,もう人生の3分の1が終わっている.

 教育システムに関してあれこれ言い出したら止まらないのでやめておくけれども,もう少し柔軟性があってもいいかなとも思う.飛び級制度や単位制によるフリーカリキュラムなどなど,社会に出る年齢にもう少し幅を持たせる手立てが整っていても良さそうなものだ.

 尤も,そう言って学生生活に甘んじて来た自分に,何か偉そうな事が言えるわけでも,具体的な発案があるわけでもないんだけどね…….

 まぁ,年を取るのは嫌いじゃない.その分,確実に人生経験は積み重なって豊かになっていくわけだから.年を取るのと引き換えに何かを失っていく,という事を意識的に予防するのも,年を取ることのコツだと思う.

2009/09/15

In Her Shoes (2005)

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 後味のいい映画.最近ラブストーリーに偏り気味なので,そろそろミステリーやらミリタリーにも手を伸ばしてみようか.ただ,ラブストーリーを離れると台詞に専門用語が多くなるので英語耳を鍛えるという当初の目的からは少し外れてしまう.それもいいか.

 前半の軽さから一転しての,後半のシリアスな展開がいい.特に,言葉少なを補って余りある感性を引き出した,全盲の教授の存在感がとてもいい.尺は長い映画だけれども,間延びするでもなく,過不足なく物語が進んでいくのも軽快だ.

 斬新さやセンスが光るという作品でもないと思うので,記録には残らないのだろうが,記憶にはひっそりと残しておきたい映画.

2009/09/14

The Sweetest Thing (2002)

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 最近,邦題から既にスイーツ(笑)臭がプンプンする映画が多い.

 驚きも感動も,斬新さも美しさも何も無い.映像も音楽も薄っぺらい.テーマとして貫いてくれるエロスや知的な下ネタは大好きだが,ただただ下品なだけというのは本当に気分が悪い(その閾値は,完全に主観でしかないのだが).同じ下ネタ系でも,ドラマの「Friends」は脚本も伏線も完璧すぎて大ファンになってしまったというのに!

 残ったのは,使う機会も無さそうな下品なイディオム(使う機会が無いというのは,自分ならもっと別の気の利いた表現を幾らでも出来る,という意味)と,強烈なスイーツ(笑)臭のみ.

2009/09/13

Serendipity (2001)

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 もっと別の活かし方があっただろうという伏線や,ストーリーのコンセプトと少し違うのではないかという展開,重要なシーンの魅せ方などなど,客観的に見れば幾らでも突っ込みどころはあるのだが,それでも個人的にはこういう話が大好きだ.

 同じ王道ラブストーリーでも,型をそのまま映画にしてしまったものと,個別のストーリーに仕上げているのでは全く質が違う.言ってみれば,知られた物理公式をそのまま説明するのと,具体的な物理現象で説明するのとの違いだ.

 最初にエレベーターで子どもが乗り込んで来たり,それぞれ別の人と婚約していたり,そういった遠回りがあったからこその結末だと確信させる何かが欲しかった.あの喫茶店ももう少し引き立てられないものかなと思っていたけれど,実在する喫茶店だと分かったのでそれこそマンハッタンを実際に歩いてみなければこの映画の良さは分からないのかも知れない.

2009/09/07

Information Antenna #3

 情報の時代に乗り遅れた人達(年配層が中心と思われる)は,現代の情報のアンテナの張り方を知らない.だから,仮に能動的に情報を知りたいと思っても,その方法や術が自分達の世代のスタンダードからかけ離れ過ぎてしまっていて,事実に追い付かない.

 日本で声高に議論されている問題が実はアメリカでは嘲笑の的になっていたり,アジアで議論されている問題が日本では隠されていたり,時には隠蔽されている理由さえ,情報世代は幾らでも知る事が出来るけれども,アンテナを持たない人達はそうした現実に触れる事さえ出来ない.今や,危機感や不安すら感じなくなりつつあるかも知れない.

 一方で,我々の世代が情報ツールを駆使して潤沢に情報を利用出来ているかと言われれば決してそうでもなく,寧ろ根本的に能動性が欠けてしまっていて,結局そのアンテナを活かし切れていない事が多い.英語が読めない為に,海外の情報を遮断してしまっている人が多いのも壁の一つだ.

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 この辺りの世代間の質の違いや需要を,ビジネスに上手く昇華出来たら,世の中の情報構造そのものが劇的に変わりそうな気もするのだが,残念ながらマスコミが既得利権のかたまりになってしまっている今の日本では,情報弱者を芽に変革を導くのは難しいと思う.

 就職活動中,たまたまマスコミのマーケティング関係者と長くディスカッションする機会があって,人間とか,ネットワークとか,情報学とか,数理とか,色々な観点から面白いビジネスモデルの芽が生まれそうなところまではいったけれども,仕事や研究を通じて,何か面白い事が出来ないものか.

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 最後に,また一つ余計な話を.

 新しいものや珍しいものに出逢うと,気持ちや価値観を揺れ動かされたりする.この感動というやつは,落胆や幻滅も含めてとても人間的であたたかいものだと思うし,人生,感動を出来なくなったらこんなにさみしいものはないとも思うけれど,だからと言って何にでも感動してしまう人は安っぽく見えてしまう.

 「そんな事も今まで知らなかったの?」と聞き返したくなるようなシーンも,特に関西に来てからは日々の付き合いの中でチラホラ見かける光景だ.関西は閉鎖社会,とよく言われるけれど,確かに,東京に比べると食わず嫌いで情報や経験を拒んでいる人が多いように思う.

 これはとても勿体ないことだと思う.

2009/09/06

Full Metal Jacket (1987)

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 昔,眠気たっぷりで見た事はあったけれども,東南アジア帰りという事で,改めて見てみたら殆ど覚えておらず驚いた.やっぱり夢心地で何かをするのは良くない.

 ハートマン軍曹を筆頭に,汚い台詞のオンパレードだというのに,字幕無しでも割とイケそうな自分が微妙に誇らしい.正統派の英語のテキストは勿論,新聞や雑誌でもこういう下劣な表現はお目にかかれない.これはこれで人間臭くていい.

 内容的には,昔観たときより反戦の色があまり感じられなかった.人間の内に秘めた残虐さを生々しく描く事で,それらを押し殺す美徳を描いているのかも知れないが.尤も,それならそれで,人間の理性的な部分を押し出した魅力があるのだけれど.反戦,というテーマで見ない方がいい作品だと思う.

2009/09/04

Information Antenna #2

 こうした情報の錯覚は,情報リテラシーの欠如と単なる無知によるところが大きい.
 錯覚する側は,情報の盲目的な危険性を認識しないまま安直に情報を鵜呑みにしてしまう傾向に陥る.あるいは,未知のジャンルの情報に対しては,事前知識が無いために得てして疑う事に消極的になる.

 ただ,もう一歩踏み込んで考えてみると,情報の錯覚の大多数は,「受動的」に情報を受け取る場合に集中しているのではないか.

 例えば,歴史ドキュメンタリーのテレビ番組は,毎週ある年代のあるテーマを企画として選び,視聴者に情報や娯楽を提供するわけだが,その情報は視聴者が欲したものでもなければ,必要としているものでもない.こうして,受動的に他者から一見無作為に浴びせられた情報は,大抵の場合,予備知識のないものである場合が多く,不必要ゆえに改めてその妥当性を精査しようともしない.こうしてバイアスが出来あがっていく.

 ところが,ある情報を「能動的」に必要としている場合,人は多くの情報源から得た複数の情報を比較し,精査する.webが大衆化した今日にあっては尚更この傾向が強い.情報の必要性が高ければ高いほど,その信頼性の保証を求めるのももっともだ.

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 ただし,情報に対して能動的になれば良いだけかと言われれば,そうでもない.能動的に必要とする情報は,自分の知識や環境の内部で生じた問題に関するものであるはずなので,能動性だけでは新しい情報に対して閉鎖的になりがちだ.

 結局,新聞や報道といったマスメディアのように,総合的な情報の発信者がいて,気まぐれに無作為な情報をパルスのように与えてくれる事で,生活や文化が豊かになっていくという面は否めない.

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 突き詰めると,そうした大衆的な情報発信者にはそれなりに存在意義があって,ただ,その発信者を一つや二つという少数に絞ってしまう事は,とても危険だという事だ.取り分け,日本のマスメディアは各社足並みを揃えて世論や風潮を作りたがる傾向にあるので,複数を比較しても結局単一の方向から情報を色眼鏡で見せられている危険性も高い.

 こういった情報の性格を踏まえると,情報のアンテナを無数に張っておく事はとても重要だ.日本の新聞や報道はもちろん,海外の新聞,総合通信社,あるいは個人レベルでもブログやSNSといった情報源が多様化して来ている中で,如何に多くのアンテナを,太く張っておくかが鍵になっている.

2009/09/03

The Holiday (2006)

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 タイで唯一泊まったホテルで,タイ語放送していた映画.Cameron Diazがキュート過ぎて,帰国して即刻借りて来た.タイ語を喋っていてもチャーミング.

 Cameron Diazが老けたってよく言われるけれども,別に老けてもいいじゃない.そういう事はあまり気にしないし,寧ろひと昔前より表情が生き生きしていて好きだ.笑顔より怒った顔とか驚いた顔の方がキュートな女優さんというのはなかなかいないと思う.

 個人的に大好きなタイプの映画.編集者や映画監督といった文学系・芸術系の登場人物がメインという事もあって,台詞と音楽がオシャレなのもいい.最近では,ストーリーそのものはもちろん,脚本と音楽も映画の楽しみとしてかなりのウェイトを持っているので,台詞で中だるみのない作品は見ていて気持ちいい.一つのシーンを台詞ではなく巧みな演技とカメラワークで作り上げるのも映像の醍醐味の一つではあるけれども,語学という目的には適わない.

 女性がキュンキュンしそうなこういう映画に,ちゃっかりキュンキュンしてしまう自分の感性も嫌いじゃない.平凡の中に人間を描くのもいいが,フィクションにおとぎ話を夢見るのもいいじゃないか.そんな可愛い映画だった.

2009/09/02

Information Antenna #1

 知らない事を理由も無しに批判したり嫌ったりするのは好きじゃない.完全にとは言わないけれども,自分自身,特に意識しなくても実際そうしていると思う(尤も,この記事が批判だと言われてしまったらそれまでなのだが……).

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 年をとればとるほど,受け取れる情報量が少なくなるのに並行して,若い世代の情報に触れる機会が少なくなるものだから,年配者ほどある種の恐怖感から未知のものを頭ごなしに批判したり嫌ったりする傾向が強いように思う.
 自分の偏見でしかないが,都会の人が何事にも受容的で,地方の人が新しい価値観に消極的であるのも同じ理由からではないだろうか.

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 少し余談を.

 我が家で最初のPC(NECのValueStar)を導入したのは,自分が小学6年生の時の事だ.昔はプログラマとして働いていた事もある母だったが,新世代のPCはゲーム機と同じという認識だったらしい.中学時代,自分がコイツでテスト前に勉強用のノートを作っていたら,内容も見ずに不機嫌になって「パソコン1週間禁止」を言い渡された事がある.高いマシンを壊されてしまっては困る,という意味もあったかも知れないが,母のこういう理不尽さは昔から悩みの種ではある.

 同年代の友達で,同じ頃にパソコンを使い始めたという友人は,逆に親からお下がりでサーバ構築やらプログラミングの本を貰って,興味本位でいじくり回した結果,今やGoogleの研究員だ.

 自分が同じ環境にあってもそこまで計算機にのめり込む事は無かっただろうし,逆に人生観の豊かな母のお陰で出来たいろいろな経験(旅とか芸術とか)が今の娯楽の柱になってもいるので別に不満は無いのだが,あの時のパソコン禁止令が一つ若い芽を摘んでしまったのは間違いないと思っている.

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 話を本筋に戻そう.

 適切に情報を選別できる力さえあれば,有益な情報は多ければ多いほどいい.但し,量的な問題だけではなくて,その質や発信源も重要だ.自分達の世代でまともに情報を選別出来ている人達から見たら,今のテレビの情報がいかに一方的で偏ったものか(更に言えば何故そうなのかといった裏社会の構図まで)生々しく見えてしまうが,いわゆるテレビっ子から抜け切れない人達は,テレビからの情報が絶対の情報だ.テレビ一方向からの情報は,テレビっ子を盲目にしてしまう事もある.

 情報の怖いところは,本来,情報が事実のある一面を隠してしまう性質を兼ね備えているにも関わらず,それを悟らせない事だ.

 例えば,ある著名人がブログに日記を書く.その著名人のファンは,毎日その日記を読み,あたかもその人と時間を共有したような充実感さえ覚えるかも知れない.
 ところが,仮にその日記が事実だったとしても,日記に書かれている事なんてその著名人の生活の高々10%程度のものだったりする.10%では確かに誠実で分別のある人物がいたとしても,その裏で裏金工作に必死に駆け回っていたり,美人アイドルの枕営業を受けていたりするかも知れない.

 一方,ファンにしてみれば著名人の日常を知る情報のアンテナなんてこの日記の他に無いものだから,10%の姿をその人のすべてだと錯覚してしまう.

 そして更に怖いのは,世の中の大多数の人間がこの錯覚に陥ってしまった時,隠された一面は得てして多数決の法則に屈し,闇に葬り去られてしまう事だ.

2009/09/01

The Bridge on the River Kwai (1957)

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 タイから帰国して一番最初に観なければならなかった映画.

 「戦場にかける橋」で知られるこの映画,名前こそ知ってはいたが観た事は無かった.先日タイを旅したとき,バンコクで時間を持て余したので最終日に少し足を伸ばそうと選んだのがカンチャナブリーで,この映画の舞台となった街だ.実際の橋も見て,歩いて渡っても来た.

 史実とは異なり,だいぶ脚色された映画のようで,又,カンチャナブリーでの数々の戦争展示と同様,ウェスタンな匂いが汲み取れないでもなかったのだが,映画そのものは軍隊であるとか,組織であるとか,人間であるとか,そういうものの本質や脆さが巧みに演出されていて面白かった.
 正直なところ,戦勝国の視点だろうが敗戦国の視点だろうが,物事の裏を読みたがる偏屈な自分が辿り着く行先は同じなのだ.

 組織の中にありながら個人的な感情やプライドの中で揺れ動き,時に合理的に,時に非合理的に利己と公益の間をさまよう登場人物達.彼等自身,決して軸はぶれていないのだけれど,捕虜としての役割,軍人としての役割,組織としての役割それぞれを全うしようとする為に,知らず知らずにジレンマを踏んでいく.そんな展開が面白い.最後の15分間の手に汗握る展開も,冷静に思い返してみるとある種滑稽で,深く考えさせられる.

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 映画としての価値ももちろんあるのだろうけれど,やっぱり旅して直接歴史をたどってきた,というのは大きい.映画を見るにも深い視点や広い視点でジャッジできるし,旅を振りかえる材料にもなる.よく映画でもちいられるモチーフとして,アウシュビッツがあるけれども,こちらも遠くないうちに一度足を運んでおきたい.

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