- バルビゾンから贈りもの―至高なる風景の輝き
- 府中市美術館
府中市美術館で開催されている「バルビゾンから贈りもの―至高なる風景の輝き」へ.ローカルな美術館ながらも開館10周年記念ということもあってか,バルビゾン派のファンとしては見逃せない企画展.行くタイミングを探っていたところで,文化の日という絶妙のアートデーをチョイスした.あまり期待はしていなかったものの,実際,バルビゾン派の作品が目白押しというわけではなく,バルビゾン派の画家達のマイナーな作品が数十点ほど集められている程度.その分,バルビゾン派の影響を受けた日本の洋画家達の作品も同程度集められていて,全体のボリュームとしては大きな美術館の企画展と同じかそれ以上となっている.
美術館の照明がいまひとつ活きず,ただでさえ暗いバルビゾン派の作品群がより一層暗く観えてしまっていたのが残念だったのと,バルビゾン派のイメージの一つを「夕暮れ」として捉えているのは少し違うかなという気がしないでもない.
ただ,集められていた作品そのものはとてもいい.特に,MilletやCorot,Rousseauといった大御所の作品以上に,バルビゾン派の影響を受けた日本人画家達の作品群が抜群に良かった.中でも,小山正太郎と浅井忠の作品は,バルビゾン派のコンセプトを確実に日本流に汲み込んでいるだけではなく,卓抜した画力と構成力が注ぎ込まれた傑作ぞろい.小山正太郎「秋景図」,浅井忠「収穫」あたりは,今回の企画展の中でも本家バルビゾン派以上に印象に残った作品.小山正太郎あたりは,武士出身の画家であるにも関わらず,農村の姿をあらわそうとしたというあたりも,色々考えさせられるポイントでもある.
電車でもなかなか宣伝を見かけないマイナーな美術展ではあるけれども,バルビゾン派のファンならば意外な発見があるように思う.そもそも,バルビゾン派のコンセプトは,農村・農民の社会だった近代の日本の風景と相性がいいのだろう.今回の美術展で,その近さが実感できたのは良かったと思う.


