2010/11/03

バルビゾンから贈りもの―至高なる風景の輝き

 府中市美術館で開催されている「バルビゾンから贈りもの―至高なる風景の輝き」へ.ローカルな美術館ながらも開館10周年記念ということもあってか,バルビゾン派のファンとしては見逃せない企画展.行くタイミングを探っていたところで,文化の日という絶妙のアートデーをチョイスした.

 あまり期待はしていなかったものの,実際,バルビゾン派の作品が目白押しというわけではなく,バルビゾン派の画家達のマイナーな作品が数十点ほど集められている程度.その分,バルビゾン派の影響を受けた日本の洋画家達の作品も同程度集められていて,全体のボリュームとしては大きな美術館の企画展と同じかそれ以上となっている.

 美術館の照明がいまひとつ活きず,ただでさえ暗いバルビゾン派の作品群がより一層暗く観えてしまっていたのが残念だったのと,バルビゾン派のイメージの一つを「夕暮れ」として捉えているのは少し違うかなという気がしないでもない.

 ただ,集められていた作品そのものはとてもいい.特に,MilletやCorot,Rousseauといった大御所の作品以上に,バルビゾン派の影響を受けた日本人画家達の作品群が抜群に良かった.
 中でも,小山正太郎と浅井忠の作品は,バルビゾン派のコンセプトを確実に日本流に汲み込んでいるだけではなく,卓抜した画力と構成力が注ぎ込まれた傑作ぞろい.小山正太郎「秋景図」,浅井忠「収穫」あたりは,今回の企画展の中でも本家バルビゾン派以上に印象に残った作品.小山正太郎あたりは,武士出身の画家であるにも関わらず,農村の姿をあらわそうとしたというあたりも,色々考えさせられるポイントでもある.

 電車でもなかなか宣伝を見かけないマイナーな美術展ではあるけれども,バルビゾン派のファンならば意外な発見があるように思う.そもそも,バルビゾン派のコンセプトは,農村・農民の社会だった近代の日本の風景と相性がいいのだろう.今回の美術展で,その近さが実感できたのは良かったと思う.

第42回 日展

 第42回日本美術展覧会.先日,六本木でゴッホ展と併せて行って来た.台風の中ということもあって,来客数は多くなく,快適に観て回れた.9月の二科展と比べて作品数も少なめで,体力的にも余裕あり.

 さて,こちらの日展.
 二科展のときには,平均的にはあまり好みの作品が無く,ときどきパルスのように好みの作品がある,といった感じだったけれど,こちらの日展は正直,ほとんど外れが無かったといっていい.特に,洋画部門ではどの作品も一枚一枚じっくり時間をかけてみたいと思うような作品ばかりだった.ゴッホ展よりも遥かにインスピレーションを刺激される展覧会だ.

 いい作品が多過ぎて絵葉書には収まりきらないので,図録を買って帰ろうとしたら,図録に掲載されているのは審査員や会員の作品と,特別賞の受賞作品のみ.一般の入選作品は掲載されていない.一般の入選作品こそ手元に残しておきたいものが多かったので,あまりに残念だった.絵葉書になっている作品も多くはなく(よく分からないのだけれど絵葉書も書いた本人が基本的には実費で作成するもののよう),あまりに多くの一期一会となってしまった.

 現代だけにモダンアート,という先入観がはびこっているけれども,今の世も,古典的な日本画,洋画の手法を踏襲して,感性を絵に注ぐ人たちがいる.そういった人達の多くは後世に名を残すわけでもないだろうし,実際,過去の日本人画家たちでさえ世に広く名前を知られている人は少ない.やっぱり,展覧会の絵は一期一会だ.
 だからこそ,身近でもある.絵を描いたり観たりすることは,日常の一ページとしてごくごく自然にそこにあるもので,それは丁度,旅先で出逢った人から知らない話を聞いたり,新たな知見を与えられたりするのに似て,普段見逃しているものに気付かせてくれもすると思う.

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