「Het Nieuwe Rijksmuseum(ようこそ,アムステルダム国立美術館へ)」は2008年のドキュメンタリー映画.Twitterで紹介され,渋谷のユーロスペースでギリギリ公開されていたので,気になって観にいって来た.ここ3ヶ月くらい,映画館とはご無沙汰だったので久し振りの映画館.映画館のまわりは渋谷を象徴するような下世話な通りだけれど,マイナーな映画を細々と上映しているこういう小さな映画館は味があっていい.さて,ドキュメンタリー映画ということでノンフィクションもノンフィクション.アムステルダム国立美術館の改修工事をめぐる問題を実際に追った映像なのだが……正直,全く事前知識無しに観ただけに衝撃が大きかった.
アムステルダム国立美術館は,Vermeerの作品4点を擁するオランダ屈指の美術館で,実は来年の長期連休を利用して訪れようと検討していた候補の一つだった.ところが,まずこの美術館が2004年からの改修工事をめぐって様々な問題を抱え,現在に至るまで閉鎖状態にあるということを映画を観て初めて知ったのだ.
例えば美術館の公用通路の改築が一般市民の生活に波及して問題になったり,新しく新築される棟のデザインが美術館のコンセプトに合わず議論を呼んだり,問題の渦中にあった館長が突然の辞意を表明してリーダー不在に陥ったり,建築のコンペが失敗し予算が足りなくなったりと,もう見るに耐えない混迷振り.映画を見る限りでは,それぞれの問題のどこに原因があるのかは暗に訴えられているようであり,むしろそれがこの映画の狙いの一つなのだろうけれども,にわかとはいえ美術ファンの一人としては,世界的な美術館がこんなくだらない(そう,本当にくだらない)理由で長期閉鎖を余儀なくされているなんて残念で仕方ない.芸術を政治が後押しすることは必ずしも悪いことではないと思う(むしろ効果があるなら是が非でも着手すべき)けれど,この作品を観てしまうと,お役所仕事では限界があるのかも知れないと思わざるを得ない.
幸い,作品達の一部は別館で公開中とのことだけれども,一日も早く問題の解決を願わずにはいられない,と思った映画.


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