2010/09/07

乾くるみ『イニシエーション・ラブ』

イニシエーション・ラブ (文春文庫)
乾 くるみ
文藝春秋
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 なにやらミステリー的な要素がある,という空気がポップアップから感じられたので,期待もせずに買った本.後で調べたら結構話題にはなっていた本らしい.

 内容的には,普通の恋愛小説.初々しさが個人的にはツボではあるものの,別に大きな話題になるほどのものでもない.ただ,読み進めていて「あれ?」と違和感を感じるところが幾つかあって,最後の最後でからくりが分かった.それまで割と綺麗な恋愛小説だと思っていたら,狡猾な黒い小説に一変して血の気が引いた.

 とは言え,本当にからくりに気付くか気付かないかのギリギリのところで何とか気付いたようなものだ.後でwebで幾つかレビューを読んでみたら,どれもさも気付くのが当たり前かのように書いてあるものだから,ひょっとしたら自分は相当注意力が弱い,ないしは散漫になっているのかも知れない.最後の2行が鍵,みたいに紹介されてはいたものの,最後の2行でからくりの全貌に気付ける人なんてそう多くいるんだろうか.「あれ?どういうこと?」と混乱する程度がいいところだと思うのだけれど.

 ともあれ,からくりに気付く前後で小説の雰囲気がまったく反転する,という面白さはあっていい.小説としては波が少ないけれども,試験的な小説だと思って読むのはあり.ただし,似たような試験的な小説は,例えばライトノベルの世界であるとか,ゲーム小説の世界であるとかには幾らでもある気がする(自分でも思い当たるものが無いわけでもない)ので,革命的かどうかはよく分からない.

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