ライフ・イズ・ビューティフル [DVD]
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角川エンタテインメント (2009-11-20)
売り上げランキング: 362
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第二次世界大戦中のユダヤ系イタリア人一家のイタリア映画.ホロコーストによって収容所での生活を余儀なくされた親子の,確固たる家族愛が描かれている.
コメディタッチなので,細かい描写や設定に関しては突っ込まないことにして,この映画で大絶賛されているコンセプトについて.
収容所という絶望的な環境下にありながら戦争の非情さを親だけが抱え込み,子どもには一切の悲劇を隠し続ける徹底した愛情がモチーフとなっている.
いってみれば,“見ざる,言わざる,聞かざる”と同じで,子どもの見なくていいものは見せてはいけない,という,家族愛というよりは世代愛とか,教育に関するコンセプトに近いように思われる(実際,父親の方針に収容所の同僚たちも賛同していたわけだ)のだけれど,個人的に,こういう価値基準のおしつけってどうなのかなと思う.
もちろん,そういう部分も必要だ.子どもには,悲劇より先に知るべき美しき世界がたくさんあるし,同じものを見せて育てるなら希望をはぐくみたい.しかし,戦時下でのこの映画で描かれるほどに徹底した囲い込みは,かえって子どもをさげすんでいるようにさえ見える.
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“見ざる,言わざる,聞かざる”の教育方針の根底には,子どもに善し悪しの判断能力や判断基準がないから,という決めつけが隠れている.それは実際にそうだと思うし,この方針にも同意する部分は大きいけれど,ならば,例えばなぜ算数は教えていいのか.理科は教えていいのか.小学校や中学校で教えられている算数や理科も,実は「ウソ」だったりするわけで,そのウソは学問の道の途中で,それぞれ代数学や相対論によって「修正」されていく.
だったらなぜ,戦争の惨劇や人間の醜さは「修正」を許されないのか.結局,“見ざる,言わざる,聞かざる”の方針はあってもよいけれど,何に対してそうするべきかは,突き詰めればエゴや偏見でしかないように思えるのだ.
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この映画の中で描かれるのは,一つの家族の“何に対してそうするべきか”の価値基準なので,映画そのものに否定的なことはいわないけれど,むしろこの映画を絶賛する声が世界的にあまりに多いのが気持ち悪くて仕方ない.皮肉っぽいけれど,現実社会でのこういう教育の姿勢が,この映画に対する批判の可能性まで殺してしまっているじゃないか!
なんか極論みたいなことをツラツラ書いてしまったけれど,もちろん自分自身,その辺のバランスが一番大事だと思っているので,この先子育てをする機会があればやっぱり自分のエゴをある程度押し付けてしまうのだと思う.
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さて,肝心の映画に関して,コンセプトに関しては自分自身は,賛同する部分もアリ,否定的な部分もアリだ.
この映画で一番残念なのは,収容所ゲームの景品が「戦車」であること.せっかく戦争の惨劇を見せないようにしていたのに,その報酬が戦車とは何ごとか.この部分までコメディタッチに描いてくれていたならそれはそれでわかる人にだけわかる痛烈な皮肉になっていて面白いのだけれど,残念ながらそういう遊びごころはなさそうだ.
一方,この映画で素晴らしかったのは,戦争色のない前半の物語と,息子のJoshuaの表情の豊かさ.この映画,中盤まではイタリアの名作「Nuovo Cinema Paradiso(ニュー・シネマ・パラダイス)」に勝るとも劣らない雰囲気.音楽も映像も,ずば抜けていい.後半の収容所の物語では,Joshuaの演技力が光る.パッケージにも描かれていることの多い本物の戦車が登場したときのJoshuaの表情なんか,こっちまで嬉しくなってしまう.
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