ヒトラー~最期の12日間~スタンダード・エディション [DVD]
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日活 (2006-11-10)
売り上げランキング: 5190
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Hitlerの著作『わが闘争(Mein Kampf)』を読んだことのある人はどれくらいいるだろうか.嫌う前に知れ,というのが自分のモットーで,自分がこの本を読んだのは中学生のときのことだ.本が本だけに白い目で見られたこともあった気がするが,読んでもいない奴にとやかく言われる筋合いはないだろう.Hitlerを擁護するつもりはサラサラ無いけれども,難解なこの本を読んで当時感じたのは,「ヒトラー=ナチス=ホロコースト」という構図に対する違和感だった.
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「Der Untergang」は独墺伊の共同制作映画で,ドイツ降伏までを描いた映画となっている.直訳でもないのに何のヒネリも無い邦題にはやや苦笑いだが,この映画,思いのほか面白い映画だった.個人的には「Schindler's List」よりも好きかも知れない.
この映画の面白さは,歴史からは見えないHitlerやナチスの“人間らしさ”を描いているところにある.理想と現実,公と私との間で揺れ動きながらも,誇りを持って信念を貫くHitlerや幹部たちの姿は,ある意味で幕末の志士たちに通じるような気高さすら感じる.むしろ,Hitler自身の残虐さは全くといっていいほど描かれておらず,それでもなお歴史的悪人という色眼鏡が勝るのだから,Hitlerに対する世の認識がいかにどす黒いものかわかる.
彼等が異常者ではなかったからこそ,われわれは人間の狂気の恐ろしさと虚しさを痛感させられるのだ.
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今の価値観から見れば,ファシズムだの民族主義だのと,あまりに非人道的にうつるわけだが,歴史的背景を無視してもいけない.それこそ,今の時代の価値観が100年後に大笑いされているであろうことと同じように,Hitlerは悪意だけを持ってファシズムを進めてきたわけでもないのだ.そうした気高い理想は,Hitlerよりもむしろその側近たちを通じて強烈に描写されている.
ナチなき世界に子どもたちを生かせない,そういって心中を決意した母親.辱めを避けるために自ら遺体の消失を願い出たものたち.一方で,裏切りや暴走によって崩壊の一途をたどる組織.こうした様々な局面を見るに,Hitlerとナチスが,同義ではないことに気付かされる.ナチスや,そしてホロコーストは,Hitlerという人物一人で語れるほど浅い負の歴史ではないのだ.
この映画で,価値観や想いを少しずつ変えていく少年Peterは,この物語の隠れた主人公のように見える.
弱いがゆえに群れ,ひとたび組織をなしたとき,組織に埋もれて理性を失う恐ろしさ.ナチスをめぐる悲劇は,Hitlerの狂気以上に,人々の狂気に満ちている.われわれは,Hitler一人にその責任を押し付けることで,自分たちの中に眠るその狂気から目を背けてはいないだろうか.
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繰り返しになるが,倫理的にも政治的にもHitlerは忌むべき存在であり,肩を持つ気は全くない.しかし,この映画はそうした大物の影に隠れた歴史や,恐ろしさを,あえてHitlerの異常性を封じることで逆説的に訴えているように見える.大戦の歴史から学ぶべきことは,「Hitlerは悪いヤツ」という知識ではなくて,人間の狂気とそれに対する戒めであるべきだ.
ただ,この映画で残念なのは,Hitlerはもちろん,ややナチスを美しく描き過ぎているところか.典型的なのは,強制収容所で人体実験等を繰り返していた医学博士Stumpfeggerがきわめて人道的な医師として描かれているところなど.この辺のバランス感覚がもうちょっと欲しかったというのは欲張りか.
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2 comments:
昨日今日と久し振りに本気出したな。歴史は勝者がつくるってやつですね。うん、一度見てみたいところだが・・・
この映画って、おっぱいぷるんぷるんだよな?本編見てないけど総統MADのせいでイメージが崩壊してます
そうです,おっぱいぷるんぷるんの映画です.実際,そう聞こえちゃうから困る.
歴史は勝者が作る,っていうか,敗者の歴史が作られてしまう,っていう感じだよね.特に世界大戦の場合,勝者は沢山いたし,どちらでもない国も沢山あったけど,敗者と責任の拠り所だけははっきりしてたから.
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