一部のCGをのぞけば作りこみは大いに凝っており,物語も飽きの来ない展開.ほとんど予備知識なしに見た映画だったのだが,Caravaggioという一人の画家の生涯の中に,当時の宗教画の制約や,職業画家としての苦悩がふんだんに織り込まれていて,3時間という時間を感じさせない.それは,映画監督のセンスもさることながら,単純にCaravaggioという人間の数奇な人生によるところが大きいのだろう.画家でありながら政治問題や決闘といった似つかわしくない問題に常に付きまとわれ(その多くは彼の性格や行動に起因する自業自得の問題なのだが),人間的な浅はかさや滑稽さが光る.欠点が見えてこそ愛せるというべきか,身近にいて貰ってはなかなか困る人物ではあるのだが歴史の中に組み込まれたCaravaggioの本質は実に濃厚で面白い.
美術的な観点でも,彼の作品における寓意や時代背景がチラチラ見え隠れしていて,様々な観点から楽しめるエンターテイメント的な映画だと思う.今まで見た画家ものの映画の中では,かなり上位に入ると思う.


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