再びジャケ買いした小説.……何一つ心に残る部分がない.共感も出来ないし,美意識の感覚も違うし,感動する場面も一つもなかった.大体,物語のクライマックスがスマブラって何だ.ごくたまにいいフレーズが響いたこともあったけれど,頻繁に登場する君の悪い科学かぶれの表現にたちまちかき消されてしまった.
“煙のすじはエントロピー増大則に従って拡散し,やがて白い壁と同化して消える”
“pH値2.08をたたき出す草津もすごいが”
極めつけは,人の悩みを数量的に解明するための方程式が「W=Fa/α」なんて始末.これ以外にも,論理学や自然科学のエッセンスを組み込もうとして世の中の全理系人を敵に回すような気持ち悪さが随所に光る.
高校時代の自分が小説を書いたら,実は結構同じような使い方をするんじゃないかという気がしないでもないけれど,一見自分と近そうでいて,自分とは限りなくピントのずれた作品だった.好きな人は好きなんだろうけれど,純粋さでもSF性でもエンタメ性でも表現でさえも,『涼宮ハルヒの憂鬱』の方が圧倒的に面白い.あとは,ジャケ買いした最初の二冊が傑作過ぎたのも損に働いたかも知れない.



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