2011/04/10

朝比奈あすか『憂鬱なハズビーン』

憂鬱なハスビーン (講談社文庫)
朝比奈 あすか
講談社 (2010-10-15)
売り上げランキング: 519639

 『彼女のしあわせ』が面白かったので,同じ著者の代表作として購入.東大卒で有名企業に就職するも,同じく東大卒の弁護士さんとの結婚で専業主婦に.そんな主人公が抱える不満や憤りが描かれる.

 多分,バックグラウンド関係なしで読んだら,意外性や発見があるのだろうけれど,自分としては寧ろ日常的なストーリーだったというのが正直な感想.世間的に勝ち組と言われる人種の憂鬱,みたいなものがテーマの一つだと思うのだけれど,自分も世間的には高学歴,大手企業の本部勤務,という似たような境遇なので,周りで落ちぶれていった人間は幾らでも見ているし,寧ろ学歴なんて本人の幸せとは何の関係もないと確信しているクチなので,ごくごくありきたりな拗ねた女性の物語になってしまった感がある.

 この物語から得られる教訓は,人のせいにするな,ということ.主人公は,自分の育ってきた家庭に大きなコンプレックスを抱くと同時に,自分の経歴に大きなプライドを持っている.そして,現状の憂鬱をそれらにあてつけてしまっている感があるのだけれど,結局は自分が選んだ道でしかないのだ.加えて言えば,彼女の不幸は,それ以外の選択肢を考える余裕がなかったところにあると思う.

 先日,立教新座高校の校長の言葉(http://niiza.rikkyo.ac.jp/news/2011/03/8549/)が大きな話題になった.この校長の言わんとすることは,自分が高校時代からずっと思い続けて来たことでもあり,時には説教がましく受験生に投げかけても来たことでもある.同じ大学に進学するにも,ほかに道は幾らでもあって,それらを比べた上で自分がこの道を選ぶということが大事なのだ.会社に入るにも,有名企業に就職することではなくて自分の意志で納得した進路を選ぶことが大事なのだ(就職市場の歪みっぷりからなかなかそれは難しくもあるのだけれど).
 この物語の描く“日常”は,日本社会のおかしな仕組みを感じさせた.

1 comments:

ビルバーク さんのコメント...

いずれ政治力が目立ってくる・・・

不思議な作家さん、そんな記事が出回るとは。
http://www.birthday-energy.co.jp
ここまで書かれるなんて、なんか読んでおきたいなと
思う作家さんですね。

新作の『BANG! BANG! BANG!』が出たみたいですし、
図書館で『憂鬱なハズビーン』と一緒に借りてみようと
思います~。

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