本屋さんで見かけてもこのタイトルなら絶対に思いつきで買ったりはしないけれど,Amazonのおススメで挙がって来たのが目について,そこそこ評判も良かったので試しに購入.到着したその日に読み始めて,その日のうちに読み終えてしまった一冊.仕事が忙しくなって来た年明け以降でこういう読み方をした本は珍しい.
母と三人娘の物語が,それぞれ短編として収録されている.こういう,短編だけれど実は長編,というスタイル,最近の流行なのかな.文才のある人がやると,関係性が見えたときに推理小説でトリックが明かされたときのような衝撃がある.この小説では元々一人称がそれぞれ家族ということが明かされているので,推理小説的な驚きはないものの,一つの家族の中の様々な視点や秘密の設定が緻密で,これまた面白い作品だった.
三女は新婦さん.人に言えない過去の傷跡と,生まれつき抱えた身体の問題を抱えつつ,素敵なフィアンセと共に温かい一歩を踏み出す.次女は田舎暮らしの奥様.勢いで転居,結婚,出産と駆け足で人生を走る中で,見失いがちだった夫婦の絆やママ友との支えあいを取り戻していく.長女はバリバリのキャリアウーマン.自分の中の価値観と,周りの求める価値観とのギャップに煮え切らない思いを抱えるも,仕事の中で答えの形を確かめながら新たなステップを踏み出す.母は専業主婦.娘たちの多種多様な生活を垣間見て,自分の人生に穴のようなものを感じつつも,他人も持つ様々な穴を垣間見つつ,自分の立ち位置を模索していく.
自分が男性だからかも知れないけれど,最近よくありそうなタイトルでは勿体ないくらい色々な発見のある一冊だった.女性的な視点で見れば,男性にこそ読んで欲しい一冊,なんじゃないだろうか.



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