2011/02/21

Wall Street: Money Never Sleeps (2010)

 Oliver Stone監督の「Wall Street(ウォール街)」の続編として今年公開された「Wall Street: Money Never Sleeps」.公開初日に映画館に観に行ったところ,団塊の世代から氷河期世代の企業戦士を思わせる中高年が客層の大半.それだけ,前作の「Wall Street」が一部のサラリーマンには衝撃的な作品だったということだろうか.今回は,Lehmanショックの時代を舞台とした新しいWall Streetが描かれた作品.事前の評判は良くなかったものの,前作だってそれほど評判のいい映画ではなかったしその辺りは気にしなくていい.序でに,前作を観ていた方がプラスアルファで楽しめるシーンもチラホラある(例えばCharlie Sheenの登場シーンとか)が,知らなくても十分観られる映画.

 さて,この映画.何といっても音楽が抜群にいい.Oliver Stone,Craig Armstrong,どちらのセンスなのか,Brian Eno & David Byrneの「HOME」に始まり,80年代的な聴き心地のいい音楽が続く.エンディングの「This Must Be The Place」もラストシーンに溶け込んで希望を感じさせるテクノポップ.これら挿入曲一曲一曲のテーマも,(この映画に沿った)「人生」であったり「家族」であったりと,到底,金融の世界とは結びつかないようなあたたかいものばかり.最早,2000年代のハイブリッドファイナンス時代に逆行した,古き良き時代へのカタルシスすら感じさせる選曲だ.





 それもそのはず,そもそもこの映画は前作はもちろんのこと,「ハゲタカ」のようなファイナンスの狡猾な食い争いを描くというよりは,家族愛や人生観を問うた人間ドラマに近い映画なのだ.それ故に,Wall Streetのシビアな戦いを期待して映画館に足を運んだサラリーマンにとっては肩透かし間違いなしの映画なのだろうけれど,個人的には前作より圧倒的に今作押し.稼げるときに一気に稼いで引退するのがアメリカンドリームじゃない.恋人,家族,家庭,愛,尊敬,消費,ものづくり,そういう古き良き時代のアメリカンドリームを髣髴とさせることこそがこの映画の狙いだといってもいいのではないか.

 ファイナンスの面で言えば,悪役的な位置付けのC.S.社(明らかにG.S.を意識している)も裏表ともに生ぬるい代わりに,"Investment" Bankの名に恥じない硬派な商売を手掛けていて(それでもフュージョンだの新エネルギーだのも相当マユツバではあるけれど),いわゆるあくどいWall Streetのイメージを払拭させる意図も見え隠れする.主人公の母親が手掛ける中古住宅市場でも,投資としてではなく居場所としての家を象徴的に描き出しているのも,アメリカのサブプライム問題をこれ以上悪化させない為の心遣いというかキャンペーンというか.それでも,個人的にはコモディティも住宅もやっぱり最初から投機手段として見るべきじゃないと思っているので,この映画のコンセプトは嫌いじゃない.
 最後の最後はweb広告に全部いいとこどりされてしまうのは滑稽だけれど,情報が唯一無二の商売道具だという金融の本質を一貫してよく見せていたと思う.強いていえば,前半の風説の流布,株価操作を罰せられないようならアメリカの株式市場も相当ヘタレだなと思ったくらい.

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