2011/02/20

石原慎太郎『太陽の季節』

太陽の季節 (新潮文庫)
石原 慎太郎
新潮社
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 現東京都知事,石原慎太郎の芥川賞受賞作品『太陽の季節』.昨年の青少年健全育成条例にかこつけて,石原慎太郎の過去の著作が一部で大バッシングを受けていたのをきっかけに読んでみた.尤も,自分もれっきとした一東京都民.彼の作品を読んでおいて悪いこともないはず.

 さて,昨今一部で浴びている批判の通り,物語の展開やキャラクターを見ている限りでは,著者の人間性を疑いたくなるくらいに酷い作品と言われても仕方ない.自分も,このストーリーそのものを受け入れられる類の人種ではない.しかし,そこに表現される若者の本質,悪意,時代性,苦悩はとてつもなく生々しく,主人公とまるでベクトルの違うはずの自分ですら頷いてしまえるほどに,心情描写は論理的であり巧みであると思う.20代の学生が書いただなんてとても思えない,芥川賞納得の作品だと思う.

 石原慎太郎が,この作品を是として書いたか非として書いたかは分からないけれど,時代性を勘案した上で,ある種の社会風刺だと思えば尚のこと価値ある作品ではないか.いや,今の時代でこそ(発表された当時の若者の実情を知ることは出来ないが)このストーリーはリアリティに満ちている.或いは,無意識のままに秩序を壊す現代社会に比べれば,悪意を持って秩序を壊す『太陽の季節』の方が人間的かも知れない.

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