- カンディンスキーと青騎士展
- 三菱一号館美術館
三菱一号館美術館の開館第三弾企画展は,ミュンヘンのレンバッハハウス美術館からロシアの抽象画家Kandinskyを中心とした作品展.Kandinskyは「青騎士」と呼ばれる美術集会を結成し,彼の抽象画のコンセプトや理念を共有しており,レンバッハハウス美術館は青騎士による抽象画コレクションで知られる美術館である.実は,2年半前,ミュンヘンで余力があれば訪れようと思っていた美術館の一つではあったのだけれど,ミュンヘンは自分のドイツ紀行の中で唯一,不完全燃焼となった街で,というのもリコンファーム手続きの行き違いから,一日を情報収集と空港往復に費やしてしまった為だ.というわけで,元々,三菱一号館の企画展は一癖あるものが多かったのでアンテナを張っていたけれども,そうでなくても時間があれば行っていたであろう企画展だ.ただ,結論から言えば,正直,海外旅行先で時間を割いて郊外まで見に行くほど魅力的だったかといわれれば正直そうでもない.実際,レンバッハハウスは画家であったLenbachのアトリエであるその建物と庭園が見所のひとつとなっており,作品だけなら市内のノイエ・ピナコテークやアルテ・ピナコテークの比較にならない.
さて,今回の美術展も青騎士の作品群は,個人的には抽象度が高過ぎていま一つ.抽象画が嫌いなわけではないし,面白みはある.インスピレーションは受けるけれども,何時間も何日も観続けていたいような絵は無かった.Kandinskyの絵で一番印象的だったのは,美術と私生活ともに長年のパートナーであったGabriele Münterの肖像画だ.抽象画の印象が強いKandinskyらしくない写実性が意外で面白かった.彼の抽象画の鮮やかな色遣いとは正反対の,淡い色彩も印象的だった.そして,もう一つ,今回の美術展で最もインパクトがあり,且つ引き込まれた絵は,他でもないLenbachの自画像だ.一度向き合ったら最後,目を逸らすことさえ許されないような圧倒的な迫力がある.繊細且つ濃厚な表情の画風とは裏腹に,顔以外の部分のタッチがやや荒めに仕上がっているのも,自画像の表情の存在感を一層際立たせることに一躍買っているようにも思う.今回の企画展最大の失敗は,この絵をレンバッハハウス美術館の紹介と併せて最初のフロアに展示していることではないだろうか.


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