昔,どこかで聞いた話(たぶんZ会の旬報か何かだったと思う).
英国でとある老婦人が劇場で『ハムレット』の舞台を観たとき,「この演劇はやけに慣用句だのお決まりの台詞だのを多用していてお高いね」と評したという話だ.実はこれは笑い話で,要するに今の英語の慣用句や定型句の多くがShakespeareに由来していて,そういった母国語の歴史や背景を知らない豆老婦人への皮肉とShakespeareへの賞賛をこめたものだ.
自分自身,Shakespeareの作品をきちんと脚本で読んだことはほとんど無くて,大抵は映画やドラマで知っていた程度だった.この邦訳版の『ハムレット』も,戯曲文として読んだのはエンターテイメント業界の就職活動をしていたときの話で,そう古い話ではない.結局,今はもう少し専門的な道を選んだわけだけれども,趣味との接点,教養,語学,さまざまな場面でShakespeareはむしろ原作を読まないとダメだな,とすら感じることが多い.
「生か死か」みたいなお決まりの台詞もShakespeareの読みどころのひとつなのだと思うし,それより何より,現代の演劇の脚本と違って読みにくさも一入だから,読んでいって物語の展開が見えてくるとグッと面白さが開ける.このあたりは,古典ながらも自分の好きな平田オリザの演劇観に通じるところもあって,古典戯曲と現代劇との間のジレンマも感じないではない.もっともそれは,英語に馴染みのない自分が読んでいるからこそ抱く印象なのかも知れないけど.



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