Dan Brownの最新作『The Lost Simbol』の邦訳版.帰国して直ぐに買ったものの,資格試験やら引っ越しやらで忙しく,結局読み終わったのは東京入りした先月末のこと.『The Da Vinci Code』に続くラングドン教授のシリーズということで,洋書版が発売されたころから楽しみにしていた(邦訳版が遠くないうちに出版されることを知っていたので洋書版にチャレンジもしなかった).中東欧各国でも,各国語訳がほぼ同時に発売だったようで,どの書店のウィンドウにも飾られていたのが印象的だった.
さて,その最新作を読み終えて,というか読んでいる途中から思っていたのは,とにかく長い.物理的な長さも前2作より長いと思われるが,それ以上に,展開がやたら遅すぎて正直飽き飽きした.物語のスピード感でいえば,それこそ『The Da Vinci Code』の3倍くらい遅かったように感じた.
他方,話の展開も,前2作でDan Brownの作風が分かっているからか,ストーリーの落ちが早々に見えてしまったのも残念.言って然るべきことを不自然に隠したり,特別言わなくてもいいことをあからさまに伏線として張っておいたり,逆転への布石が前作よりだいぶお粗末に思えた(偉そうなことは言えないのだが).邦訳はとても良かったと思うので,ひとえに作者の力量といったところなのか.登場した暗号も,特別深みのあるものには感じられなかった.
一方で,宗教学的なインテリジェンスは相変わらず素晴らしい.歴史の浅いアメリカで,これだけ魅力的な宗教サスペンスを書くには才能以上に相当量な研究と分析が必要だっただろう.そういう面での魅力は健在だ.ただし,今作の場合,テーマの中心に疑似科学的な柱が座っていたので,仮にも自然科学系のハシクレとして研究をして来た一人から見たら,SF映画にも及ばないライトノベルくらいの軽さが付きまとってしまったのは残念.最後の最後で,科学的な根拠や原理を提示してくれたり,疑似科学なら疑似科学なりの方向性を示してくれたりしたら良かったのだが,あいにく,ラストシーンこそが一番期待外れといって良かったかも知れない.



0 comments:
コメントを投稿