2010/01/19

Unforgiven (1992)

許されざる者 [DVD]
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 Sergio Leone流の西部劇の物語をClint Eastwoodが描いたEastwood監督アカデミー賞作品,「Unforgiven(許されざる者)」.マカロニウェスタンと呼ばれた(ある意味で皮肉られた)西部劇の,価値観や見どころはしっかり踏襲しつつも,観る者に余韻を残すヒューマンドラマに仕上げた監督Eastwood最初の傑作といっていい.

 「Il Buono, il Brutto, il Cattivo(続・夕陽のガンマン)」でも善人と悪人の境界線の難しさは暗に提示されているのだけれど,この作品ではむしろその境界線と葛藤をテーマに据えている.
 カウボーイたちから暴行を受けた婦女たちが尾ひれと懸賞金をつけて流した噂が,かつて悪名をとどろかせたEastwood演じるマニーらのもとに届く.葛藤に揺れながらも目的を果たし,それが引き金となって起こった悲劇的な結末に昂るマニー.物語冒頭から葛藤に悩み続けるマニーの繊細な描写が物語を重々しく彩る.

 マニーも保安官も,善人とも悪人とも言い切れない.マニーは保安官に過去の自分を映し,それでも殺された友人の無念を晴らすべく,自らの悪人としての運命を受け入れ,最後の暴挙に走る.暴力が,相手のみならず自分をも殺してしまう,それを知りながら暴力に訴えざるを得なかった人間の儚さと,暴力に対する強烈な批判が心に残る.
 同時に,そうした人間の内面を知らずしてただ単に暴力を英雄的にまつりあげる作家の存在は,突き詰めれば歴史やマスコミに対する痛烈な皮肉のようにさえ見える.この作品が「最後の西部劇」と呼ばれる背景には,この作品そのものが西部劇に対する強烈な自己批判を内包しているからなのではないかとも思う.

 西部劇として観るにはやや重い.単純にエンターテイメントとして楽しむならば,断然「Il Buono, il Brutto, il Cattivo(続・夕陽のガンマン)」だ.しかし,それだけで終わらないEastwoodの本質が,痛いくらいにこの作品にはにじみ出ている.あとに続く「Million Dollar Baby(ミリオンダラー・ベイビー)」や「Changeling(チェンジリング)」といった名作に見られるような,提起的なメッセージと静かに眠り続けるような余韻を残すEastwoodらしいラストの描き方も,この作品で既に始まっている.

3 comments:

15 さんのコメント...

BTTFから俳優クリント・イーストウッド、監督クリント・イーストウッドにつなげてるのか・・・イーストウッド特集ですね。イーストウッドの映画は、硫黄島からの手紙くらいしか見てないかもしれない。硫黄島は嫌いじゃなかった。

yuka さんのコメント...

「西部劇」というものが、どうも男の世界・・っぽく、なんだか荒々しい気がして敬遠していた中、この映画がビデオ化されてからすぐに観たくなったのを憶えています。
たぶん、主人公のやさしさでしょうか。。男のやさしさ。

私が観た、彼の他の映画も主人公はすべてやさしい。
ひょっとして私が観ていない映画も全部そうなのかな?

Lune さんのコメント...

>>15
 まさにEastwood特集です.うーん,修論忙しくなるからEastwood特集だけで2月終わっちゃいそうだ.硫黄島ももちろん書きます.けど俺は断然,「父親たちの星条旗」だな.

>>yukaさん
 西部劇は好き嫌いわかれるみたいですからね.男性の美的感覚で描かれているのは事実だと思いますが,荒々しいというのはちょっと違うかもしれません.ただ,見たあとに何か心に残るものがあるという作品は少ないような気がします.

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